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【ユーゴツアー】ユーゴスラヴィア社会主義時代の遺産に触れるツアー

【ユーゴツアー】ユーゴスラヴィア社会主義時代の遺産に触れるツアー

これからセルビアの首都ベオグラードを観光で訪れる予定の皆さんに、ぜひオススメしたいツアーがあります。

その名は、ユーゴツアー(YUGOTOUR)

 

このユーゴツアーは、ベオグラード市内に残存するユーゴスラヴィア社会主義時代に関連する場所や建物を車で順番に回って、ガイドさんの話を聞きながらユーゴスラヴィア社会主義時代を生きた人々の生活に触れることができるツアーです。

具体的には、第二次世界大戦末期に建立した社会主義国ユーゴスラヴィアの始まりから1990年代のユーゴスラヴィア崩壊まで、ユーゴスラヴィア終身大統領だったティトー(チトー)元帥の誕生からユーゴスラヴィア紛争に直接的に関わった独裁者スロボダン・ミロシェヴィチの後退までを、このユーゴツアーで体感することができます。

 

こんな人にオススメです!

  • ユーゴスラヴィアって聞いたことあるけど、どんな国だったのか気になる人
  • 短時間(3時間)でベオグラード市内に残る歴史建造物をガイド付きで巡りたい人
  • 一般の観光ツアーでは巡らない場所や歴史に触れたい人

 

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ユーゴツアーの集合場所&開始地点

ユーゴツアーの集合場所&開始地点

ユーゴツアーの集合場所&開始地点となるところは、このユーゴツアーを運営する会社のオフィスがあるところになります。

このオフィスがある付近はサヴァマーラ(Savamala)と呼ばれる地区になり、2010年代に入ってから少数の独創的なアーティストたちが集まって現代的な芸術活動の場にしようという動きが始まりました。そして、現在は多くの若者やヒップスターが好んで集まる場所となっており、お洒落なカフェやバーが立ち並んでいます。

※ベオグラードの現代的な若者文化については、以下の記事で触れています。
セルビアの首都ベオグラードは「ニュー・ベルリン」?

 

集合場所のオフィスまでは、ベオグラードの中心地となっている共和国広場(Trg Republike)から徒歩15分ごろで到着することができる近場にあります。

オフィスの目印は、オレンジ色の看板に「BIKE TOURS RENT-A-BIKE」と目立つように書かれている場所になります。そもそも、このユーゴツアーは自転車を漕ぎながらベオグラード市内を回るツアー「iBikeBelgrade」を車で回るバージョンとなっています。

 

オフィスの廊下内に展示されている旧ユーゴ年表

オフィスの廊下内に展示されている旧ユーゴ年表

「オレンジ色?」「自転車?」という単語で、オランダを思い浮かびませんか?

そう、実はこの「YugoTour」と「iBikeBelgrade」の会社を起ち上げたのはセルビア人ではなく、セルビアに魅了されて移住したオランダ人だったのです!もし機会があれば、オランダ人創業者Ralphにインタビューを行いたいと思っています。

 

追記【2018年1月8日】

このユーゴツアーの創業者であり経営者であるオランダ人ラルフにインタビューをした内容は、以下の記事でまとめています。

『ベオグラードで大人気「ユーゴツアー」のオランダ人創業者にインタビューしてみた!』

ベオグラードを大好きになって、セルビアに移住したオランダ人ラルフの興味深いインタビューを是非読んでみてください!

 

私が実際に乗車した「ユーゴ」車

私が実際に乗車した「ユーゴ」車

ユーゴツアーの一番の醍醐味は、旧ユーゴスラヴィア時代を象徴する一つである車「ユーゴ(YUGO)」に実際に乗りながら、ツアーを廻ることができることです。

「ユーゴ」車は「史上最低のクオリティを持つ車」として有名で本国セルビアでもよくネタにされるブランドですが、セルビアでは現在も頻繁に見かける「オンボロ車」です。

乗車した際に分かりますが、エンジン音や加速スピード、最高速度などを体感すると本当にこれ大丈夫なのか?と疑いたくなるほどオンボロ車ですが、ある意味で歴史的な車に乗れることは一生の思い出になるはずです。

さて、当日担当してくれるガイドさんが「ユーゴ」車を運転しながら、ユーゴツアー開始です!

 

スターロ・サイミシュテ強制収容所

スターロ・サイミシュテ強制収容所

スターロ・サイミシュテ強制収容所の跡地に残る建物 ※執筆者撮影

ユーゴツアーでまず訪れる場所は、ユーゴスラヴィアが建国される前の第二次世界大戦中に悲劇が起きた歴史的な場所になります。

多くの人にあまり知られていない歴史ですが、第二次世界大戦中のセルビア地域はナチス・ドイツ軍に進行されて、それまでにセルビア国内に居住していた多くのユダヤ人が虐殺されました

 

※ベオグラード市内にあるユダヤ人墓地には、第二次世界大戦中に虐殺されたユダヤ人の亡骸が眠っています。
【ユダヤ人犠牲者率90%以上】ベオグラードのユダヤ人墓地からホロコーストの歴史に触れる

 

そして、現在のベオグラード市にはナチス親衛隊(SS)が直接管理していたユダヤ人撲滅のための強制収容所「スターロ・サイミシュテ(別名:ユダヤ人キャンプ)」がありました。

 

スターロ・サイミシュテ強制収容所跡地に置かれる記念碑

スターロ・サイミシュテ強制収容所跡地に置かれる記念碑 ※執筆者撮影

様々な調査委員会や国際機関の推定によれば、この強制収容所で虐殺されたユダヤ人は約7千〜1万人とされており、当時セルビアに居住していたセルビア系ユダヤ人の半数以上がこのスターロ・サイミシュテ強制収容所で虐殺されたという調査結果を発表している機関もあります。

ツアー担当者の話によれば、当時この強制収容所に連行されたユダヤ人たちは収容所内で虐殺されたわけではなく、ドイツから運ばれたガストラックに乗せられて虐殺されたそうです。

 

崩壊寸前の状態で残っているテレビ放送用の建物

崩壊寸前の状態で残っているテレビ放送用の建物 ※執筆者撮影

訪れた場所の中心地には、崩壊寸前の大きな建物が建っています。

この建物は強制収容所の一部ではなく、第二次世界大戦中まで存続していたユーゴスラヴィア王国時代にヨーロッパで最も早く導入されたテレビ放送用の建物になります。その建物は現在も崩壊寸前の状態で残されています。

 

崩壊寸前の建物内に誰かが居住していることがわかるTVアンテナ

崩壊寸前の建物内に誰かが居住していることがわかるTVアンテナ ※執筆者撮影

そして、この建物も含めて強制収容所が位置していた敷地内には多くのロマ人が生活しています。そのため、この建物のドア付近には住所を表す番地表記がなされています。

現在は一般のセルビア人はあまり足を運ばない場所となっていますが、第二次世界大戦中のセルビアで何が起きていたのかを知る手掛かりとなる歴史的に重要な場所となっています。

 

連邦行政機構(SIV)

連邦行政機構(SIV)

連邦行政機構(SIV) ※執筆者撮影

次に訪れる場所は、旧ユーゴスラヴィア社会主義国時代に政府機構があった建物「連邦行政機構(Savezno izvršno veće:SIV」になります。旧ユーゴスラヴィア社会主義国が崩壊し、モンテネグロがセルビアとの共同連邦から離脱してからは「セルビア宮殿(Palata Srbije)」という名称に変更されています。

この連邦行政機構には旧ユーゴスラヴィア社会主義時代の行政機関の中心としての機能を果たしており、かつてのティトー終身大統領の執務室もありました。

 

連邦行政機構(SIV)の正面玄関(車から)

連邦行政機構(SIV)の正面玄関(車から) ※執筆者撮影

しかしながら、現在のセルビア政府の行政機構中心地はこの場所ではなく、ベオグラード中心付近に位置する場所に移動されており、この建物内には現在いくつかの政府機関やセルビアの特殊警察などが使用しているようです。

依然として、いくつかの政府機関や特殊警察などが使用している建物ゆえに、一般者が近づいて写真を取ろうとすると建物付近を巡回するセキュリティから警告を受けたりする可能性が高いので、安易に近づいて写真撮影しないことをおすすめします。

 

商業ビル「ウスチェ・タワー」

商業ビル「ウスチェ・タワー」 出典:photo by Filip Macura, http://srbijomkrozvekove.rs/

この「連邦行政機構」向かって右側に位置する大きなビルの建物に気づくはずです。この建物は商業ビル「ウシュチェ・タワー」として現在使用されているものの、旧ユーゴスラヴィア社会主義時代には政府を運営するユーゴスラヴィア共産党本部が置かれていたビルになります。

共産党本部が位置していた理由で、コソヴォ紛争でセルビア軍のコソヴォ武力介入を止めるために行われた1999年のNATO空爆時には、このビルに2発のミサイルが直撃したものの、崩壊することはなくそのまま持ち耐えたという伝説の建物になっています。

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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