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過去5年間におけるオランダ在留邦人の動態を統計データから読み取る

過去5年間におけるオランダ在留邦人の動態を統計データから読み取る

今回の記事では、日本国外務省が公開している「海外在留邦人数調査統計」データを基にして、過去5年間(20122016)にオランダ在住の日本人(在留邦人)の動態を表としてまとめて、オランダ在留邦人の動態に、どのような変化が起きているのかを分析したいと思います。

そして、オランダ国内に在住する日本人の動態を分析することによって、オランダ在留邦人はどれくらいいるのだろうか、永住者はどれくらいなのか、どのような理由または要件でオランダに長期滞在しているのかなどを明らかにできればと思っています。

また、私のようにオランダに移住した個人事業主(フリーランス)が実際にどれくらい増加しているのか、個人的に気になる点についても一つの指標を明示できればと思います。

 

【オランダ移住ブームとは?】

オランダはここ数年のあいだ海外移住の候補地として大きな注目を集めています。オランダと日本の間で1912年に締結された日蘭通商航海条約が基となって、日本国籍者に対する優遇措置があることが2014年末に明らかになったことが大きなきっかけとなっています。

この優遇措置では、オランダ国内に個人事業主(フリーランス)として資本金4,500ユーロを保持した形で起業すれば、オランダでの居住が許可される居住許可証が発行されます。

そして、この居住許可証を保持すれば、自身だけでなく配偶者や子どもなどのご家族とともにオランダに移住することができます。

そして、オランダ国内で自由に個人ビジネスを展開したり、音楽家や芸術家などのアーティストとして活動したり、オランダの優れた教育システムの下で子どもを育てることができるなどの利点から、オランダへ海外移住することを検討する日本人が増加しています。

 

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オランダの在留邦人数は年々増加している

年号邦人数前年比増減数(割合)
2016年8,136人+586人(+7.8%)
2015年7,550人+591人(+8.5%)
2014年6,959人+427人(+6.5%)
2013年6,532人+80人(+1.2%)
2012年6,452人+135人(+2.1%)

※日本国外務省発行「海外在留邦人数調査統計」(平成29年)を基に執筆者が作成
※データは、各年10月1日時点にて

まず在留邦人が指す者は「海外に在留している日本国民」であり、在留期間が3ヵ月に満たない旅行者等短期滞在者は調査対象から除外されています。

在オランダ日本国大使館に届けられている在留届が基になったデータによれば、2016年10月1日時点でオランダ全土に居住している日本人(在留邦人)の数は、

 

8,136人

 

となっています。

この在留邦人数は、世界各国別で第23位に位置しています。また西ヨーロッパ地域の国別で見てみると、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スイスに次ぐ第6位に位置する数となっています。

そのため、オランダに居住する日本人数は意外と多いことが分かります。

 

上記の過去5年間における在留邦人数の推移を見てみると、2014年から急激に在留邦人数が増加していることが見て取れると思います。

過去3年間の西ヨーロッパ全体の在留邦人数の平均増加率が約4.2%に留まっているのに対し、オランダの在留邦人数のそれは7.6%となっていることから、ここ3年でオランダの在留邦人数が西ヨーロッパの中で、いかに著しい増加をしてきたのかが分かります。

 

この在留邦人は2つの区分に分けられます。それは、「永住者」と「長期滞在者」になります。

 

「永住者」数は一時減少したものの、再び増加の兆し

年号永住者数 前年比増減数(割合)
20161,714+114人(+7.1%)
20151,600+96人(+6.4%)
20141,504+35人(+2.4%)
20131,469ー140人(ー8.7%)
20121,609ー85人(ー5.0%)

※日本国外務省発行「海外在留邦人数調査統計」(平成29年)を基に執筆者が作成
※データは、各年10月1日時点にて

日本国外務省における「永住者」の概要は、以下のようになります。

 

(原則として)当該在留国等より永住権を認められており、生活の本拠をわが国から海外へ移し た邦人を指しています。

【注1】 永住の意思はないが、長期滞在が可能な他の資格がないために、やむを得ず永住権を取得した場合や、在留国の人との婚姻により永住権を取得したが、いずれ本邦に帰るので永住する意思はないといった場合には、本人からの届出を優先し、「長期滞在者」に分類した場合があり ます。

【注2】 在留国等に永住権制度がない場合であっても、婚姻などにより永住の意思を持って生活の本拠(住所)をわが国から海外に移し、かつ、在留届に「永住」と届出があった者については対象に含めています

【注3】 永住権制度がない場合においては、原則届出の内容に基づき集計し、上記【注2】の例の他、永住の意思を持って居住する親の子供が自分(子供)は永住の意思はなく、将来帰国する予 定であるとして、「長期滞在者」と届出た場合には、届出を優先し、「長期滞在者」として集計してい ます。

 

これまで日本国外に居住する在留邦人のうち「永住者」とは、永住権を保持する日本国籍者のことだけを指すと思っていましたが、永住権を持っていなくとも婚姻などにより永住の意思を持つ者は「永住者」と見なすことができるようです。

理由は定かではありませんが2012年と2013年に連続で永住者数が大きく減少しています。しかしながら、ここ3年間は永住者数が再び増加してきています

 

「長期滞在者」数は著しい増加を見せている

年号長期滞在者数前年比増減数(割合)
20166,422人+472人(+7.9%)
20155,950人+495人(+9.1%)
20145,455人+392人(+7.7%)
20135,063人+220人(+4.5%)
20124,843人 +220人(+4.8%)

※日本国外務省発行「海外在留邦人数調査統計」(平成29年)を基に執筆者が作成
※データは、各年10月1日時点にて

「長期滞在者」とは、「3か月以上の海外在留者のうち、海外での生活は一時的なもので、いずれわが国に戻るつもりの 邦人」を指しています。

 

私のように個人事業主としてオランダに滞在している者や、オランダ国内の日系企業の駐在員の方、オランダ国内の大学に長期留学している学生などはこの区分の対象となっています。

「オランダ全土の邦人数」では、2014年から在留邦人数が急激に増加したと述べましたが、「永住者」を除く「長期滞在者」に限ってみれば過去5年間は高い割合の増加率を示しています。

しかしながら、2014年から急激な増加率を示すようになっています。この「長期滞在者」数の増加には、何が要因となっているのでしょうか?

 

以下では、「長期滞在者」の滞在理由または職業の区分ごとに見てみましょう。

 

「民間企業関係者」数が再度増加している

年号民間企業関係者数前年比増減数(割合)
20163,493人+142人(+4.2%)
20153,351人+169人(+5.0%)
20143,182人+167人(+5.5%)
20133,015人ー83人(ー2.7%)
20123,098人+115人(+3.9%)

※日本国外務省発行「海外在留邦人数調査統計」(平成29年)を基に執筆者が作成
※データは、各年10月1日時点にて

「民間企業関係者」とは、「長期滞在者」のうち以下の方を指しています。

 

(ア) 商社、銀行、証券、保険、製造業、運輸(船舶、航空)、土木、建設、広告、宣伝、水産、鉱 業、林業、旅行斡旋、倉庫、不動産、その他の営利企業及びその関連団体の職員(現地採用職 員を含みます。 以下同じ)
(イ) 経済団体(NGO、NPO等を含みます)の職員 
(ウ) 外国企業 (本邦における支社や現地法人の有無を問いません) の職員

 

この民間企業関係者数には日系企業だけでなく、オランダ国籍などの外国籍起業で働く日本国籍者の職員も含まれています。

過去5年間のうち2013年に民間企業関係者数は減少していますが、それ以外の年では一定の増加を続けています。この一定の増加には、オランダに進出する日系企業数の増加が影響しているかもしれません。

 

参考資料として、日系企業数の推移(20122016)も以下で見てみましょう。

年号日系企業(拠点)数前年比増減数(割合)
2016374+12(+3.3%)
2015362+6(+1.7%)
2014356+33(+10.2%)
2013323ー16(ー4.7%)
2012339 ー11(ー3.1%)

※日本国外務省発行「海外在留邦人数調査統計」(平成29年)を基に執筆者が作成
※データは、各年10月1日時点にて

民間企業関係者数が減少した2013年とその前年に当たる2012年には、オランダ国内に展開している日系企業数が減少していることが分かります。この減少をオランダ国内からの撤退と捉えるならば、民間企業関係者数が一時的に減少した理由に繋がると思われます。

しかしながら、2014年には日系企業の大幅な増加が起きており、2014年以降に「民間企業関係者数」が一定の高い割合の増加を見せている要因と考えることができます。

近年のオランダは安定した経済成長を見せており、安定した経済力や国際都市アムステルダムの存在、そして貿易都市ロッテルダムなどの存在が日系企業進出の後押しとなっているのでしょう。

ちなみに、2016年度における日系企業374社のうち、日本人が海外に渡って興した企業は33社となっています。

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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