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オランダ人は挨拶で頬に何回キスするのか?なんで〇回するのか?

オランダ人は挨拶で頬に何回キスするのか?なんで〇回するのか?

オランダに移住して、驚いたことが一つあります。それは、挨拶として頬にキス(以下、チークキス)をする文化です。

日本では家族や友人と会う際に挨拶としてチークキスをする文化または習慣はまったくありませんが、洋画や海外ドラマなどを通じて家族や友人同士でチークキスをしている光景を見ているために、「海外では挨拶としてチークキスをする」文化を多くの人が知っているはずです。

その一方で、私がオランダに移住する前、オランダでチークキスが文化として広く行われているとは思っていませんでした。なぜならば、近隣諸国かつオランダ語が属するゲルマン語族文化圏のドイツやデンマークでは、チークキスはそれほど人々の間で行われていないと聞いていたからです*。

※ドイツ人の知人曰く、近年のドイツでは若者の間で友人にチークキスする文化が広まってきたが、一般的には握手のみの挨拶が主流。またデンマークにかつて居住していた私の妻曰く、デンマーク人に挨拶としてチークキスをした際に彼らの顔から戸惑いの表情が見られたそうです。

 

いざオランダで生活し始めてみると、私の先入観を吹き飛ばすかのようにオランダ人は家族や友人同士で挨拶としてチークキスしている光景をよく見かけます。実際に、私もオランダ人の友人に対してオランダ流のチークキスをします。

今回の記事では、オランダで挨拶として行われるチークキス文化に焦点を当てて、オランダではチークキスは何回するのか?その回数の理由は?を掘り下げて考えてみたいと思います。

 

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オランダ人がチークキスをする回数は?

オランダ人がチークキスをする回数は?

オランダで生活していると、オランダ人がチークキスを3回行っている光景をよく見かけます。まず、この回数には少し驚きました。なぜならば、西欧社会でチークキスをする回数は1~2回だと思っていたからです。

そして、このチークキスをする回数「3回」には、私にとって親しみのある回数でした。それは、私がチークキス文化に初めて接したセルビアと関連があります。

私が初めてチークキス文化を学んだのは、大学3年時にセルビアに留学して長期滞在していた時です。セルビアでは挨拶として家族や友人同士でチークキスをする文化は一般的に広まっており、回数は3回チークキスする*こととなっています。

※しかしながら、頻繁に会う友人に対しては1回のみチークキスをするのが一般的です。また、毎日生活を共にする家族とはチークキスで挨拶することはありません。

 

では、オランダでどのような時にチークキスを3回行うのでしょうか?オランダ人の友人に聞いてみました。彼はオランダ南部ハーグ近郊のズーテルメール出身です。

 

ーオランダ人がチークキスを3回している光景をよく見かけるけど、毎回3回やるの?ー

友人「毎回チークキスは3回やっているね。1回とか2回で終わらせることはないね。」

ーどんな関係の人間とチークキスを3回するの?ー

友人「家族や親族、親しい友人に会う時と別れる時にやるよ。」

ー例えば1週間に2~3回会う友人でも、毎回会う度に3回チークキスするの?ー

友人「頻繁に会う友人でも毎回3回のチークキスをするね。あとは、友人と会って3回チークキスをして、数分ほど立ち話をして別れる時でも、また3回チークキスをするね。変な感じかもしれないけどね。」

ーセルビアでは男同士でも催事や友情関係によってはチークキスをするけど、オランダでも男同士でチークキスはするの?ー

友人「男同士ではしないね。チークキスをする場合は、男と女、女と女同士のみだ。男同士では握手かハグだけだね。」

 

オランダ人の友人の話から、オランダのチークキス文化をまとめてみると以下のようになります。

  • チークキスは絶対に3回する
  • 久しく会っていない家族や親族、親しい友人に対して行う
  • 男同士ではチークキスはしない
  • 男と女、女と女同士でのみチークキスをする

では、オランダ人がチークキスを3回する理由はなぜでしょうか?1回または2回じゃない理由はなぜでしょうか?

 

オランダではチークキスを3回する理由は?

オランダではチークキスを3回する理由は?

現在居住するアパートの隣に住む92歳のおじいちゃんと話していた時に、話題としてオランダのチークキス文化が挙がりました。すると、おじいちゃんは興味深い話をしてくれました。

 

爺「なぜオランダ人が3回チークキスをするのかは、全く分からない。そういえば、現在のオランダでは3回チークキスをする文化があるけれども、昔は3回もしていなかった。記憶している限り、1970年代までは3回チークキスするオランダ人は誰もいなかった。」

 

このおじいちゃんの話は、その後も心に残りました。例えば、セルビアで3回のチークキスが行われる文化的背景には、キリスト教の教えが反映されていると言われています(1回目:生の価値への感謝、2回目:先祖や近しい死者への尊敬の念、3回目:キリスト教の価値観への敬意)。

現代のオランダ社会では無宗教者が多いと言われており、セルビアのようなキリスト教文化がチークキス文化に与えた影響は皆無だと思われます。そのため、オランダ社会でチークキスが3回行われるようになった文化的背景を探ってみました。

 

蘭オンラインメディア「WRM」によれば、キスは1940年代までのオランダ社会では非常に親密な関係で行われるものとして捉えられていたため、「社交的キス」(=挨拶としてのチークキス)はまったく一般的ではなかったようです。そして、1980年でのオランダ社会では互いに1回または2回のチークキスを行う、もしくは互いに初対面ならば握手のみでの挨拶が行われていました。

では、オランダ社会に3回のチークキス文化はどのように到来したのでしょうか?

 

正確な根拠は不明のままですが、この問いに対する一つの説があります。その説は、ベルギーとフランスの田舎町の文化が1980年代にオランダ北部へと渡ったというものになります。その説によれば、当時のフランスで一般的とされていた3回のチークキス文化は、まずベルギーのブラバント州へと広まり、そして1980年ごろにオランダ首都アムステルダムに到来し、一般的に広まっていたというものになります。また、首都アムステルダムのギムナジウムに通う生徒たちがこの3回のチークキス文化をオランダ社会に持ち込んだと主張されていたりもするようです(こちら参照)。

どのように3回のチークキス文化がオランダ社会へと到来し定着していったのかは判明していないようですが、おじいちゃんの話とこうした仮説から分かることは、現代のオランダ社会で行われている3回のチークキス文化は比較的新しい文化であり、1980年過ぎからオランダ北部から全国へ広まっていたものということです。

 

オランダのチークキス文化を学ぼう!

オランダのチークキス文化を学ぼう!

「”Cheek Kissing“ ”Netherlands“」とGoogleで検索をすると、オランダに居住する外国人向け情報サイトではオランダのチークキス文化に関する記事が見受けられます。このことから、チークキス文化に馴染みのない私たち日本人だけでなく、他のヨーロッパ諸国出身の人々でもオランダのチークキス文化に困惑する人が多いのだと思われます。それは、チークキスは1~2回するものと捉えている人が多いために、3回のチークキスに驚くのが主な原因です。

そこで、以下にオランダでのチークキスのやり方をまとめてみました。

  • 友人や家族と会って挨拶する時と別れる時に3回チークキスをする
  • チークキスの順番は、(自分から見て)右側→左側→右側
  • 男と女、女と女同士のみで行われ、男同士の場合は握手かハグ
  • 唇を相手の頬に付けずに音を立てて行う「エアキス」が好ましい

 一番覚えておくべきことは、チークキスの順番です。もしオランダの慣習に従わずに反対の順番で行うとチークキスではなく単純なキスとなってしまい、気まずい雰囲気になってしまうかもしれません。

セルビアのチークキスの場合、オランダの反対側からチークキスを行う慣習があります。そのため、一度相手の顔が自分の顔を向けた同方向にきて、あやうく過ちをしてしまうことがありました。

そのため、私のような間違いをしないように、この順番だけをしっかりと覚えて3回のチークキス文化に慣れていきましょう!

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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