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私がセルビア人女性と国際結婚して直面した民族問題

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ボスニア紛争との関連する民族問題

スレブレニツァの虐殺

スレブレニツァの虐殺

1990年代に起きた旧ユーゴスラヴィア紛争の中で、最も多くの人々の記憶に残っているであろうボスニア紛争。

このボスニア紛争はセルビア人、クロアチア人、ボスニア人の3つの民族が自民族の利害を獲得するために、民族同士の殺し合いを続けて泥沼化した悲劇です。

このボスニア紛争中に起きた事件で最も有名なのは、1995年7月に起きたスレブレニツァの虐殺になります。

ボスニア東部スレブレニツァの街に避難していたボスニア系ムスリム人男性約8,000人が、ボスニア系セルビア軍によって数日間の間に全員虐殺された事件(通称「スレブレニツァの虐殺」)になります。

※「スレブレニツァの虐殺」に関する詳細
→「意外と知らないオランダとセルビアの関係②-オランダ軍とボスニア紛争で起きた悲劇-

 

第二次世界大戦以降のヨーロッパで最大の虐殺であることから、日本人の間でもこの事件の名前を聞いたことがあると思う方も多いのではないかと思います。

その一方で、ボスニア紛争の当事者であるセルビアに関して言うと、この「スレブレニツァの虐殺」の事件の内容や起きた背景などを知らないセルビア人は数多くいます

例えば、私の妻や義理の両親はこの事件の詳細について多くを知りません。当時のセルビア国内は情報規制を行われていたが故に、この事件について報道する国内メディアはなかったためだと思われます。

 

「スレブレニツァの虐殺」追悼記念式典に参加する多くの人々

「スレブレニツァの虐殺」追悼記念式典に参加する多くの人々

2017年7月11日にオランダ政治都市のハーグの中心部にて、「スレブレニツァの虐殺」追悼記念式典が行われることを聞いた私は、良い機会だから一緒にこの式典に参加しないか妻に聞きました。

※「スレブレニツァの虐殺」追悼記念式典に参列した時の様子
→「【オランダ開催】「スレブレニツァの虐殺」追悼記念式典で目の当たりにした人々の涙

妻は以下のように答えました。

「セルビア人の私が式典に参加できると本当に思っているの?私はボスニア系セルビア軍が引き起こしたスレブレニツァの事件は、絶対に許されることではないと思うし、被害者家族であるボスニア系ムスリム人たちに申し訳なく思っている。けれども、彼らの中にはセルビア人に対する憎しみを持っている人も必ずいる。そうした憎しみを持つ人たちの前に顔を出すことはできない。」

 

例として、2015年7月11日にスレブレニツァの近くにあるポトチャリで行われた「スレブレニツァの虐殺20周年式典」に参加した当時のセルビア首相ヴチッチに対して、感情が高まった参列者から石やらペットボトル、靴がブチッチ首相に目掛けて投げ込まれたり、会場から車へ逃げ込むブチッチ首相のグループに殴りかかる人がいたりと大騒ぎに発展してしまいました。

 

こうした現地の被害者家族たちの反応を目にすると、妻が不安に思う気持ちは当然なのかもしれません。

最終的には、私一人だけでハーグで行われた「スレブレニツァの虐殺」追悼記念式典に参加しました。そこで、何人かのボスニア系ムスリム人たちに「セルビア人を憎んでいるか?」と問いかけてみたところ、彼らは「別に憎んだりはしていない」と話してくれました。

しかしながら、「セルビア政府がスレブレニツァの事件を直視していない」ことや「セルビア人たちがスレブレニツァの事件の詳細を知らない」ことに対して憤りを感じていると話してくれました。

また、私にセルビア人の妻がいることも触れると、「彼女も参加してくれればよかったのに…」と言っていたので、また来年の式典には妻を再度誘ってみて、一緒に参加できればいいなと思っています。

 

まとめ

今回の記事で挙げた3つの例は、必ずしもすべてのセルビア人が思っていることやすべてのセルビア人に当てはまることではありません。

また私と妻のように、日本人×セルビア人のカップルや夫婦だからといって、同じような民族問題に直面するとも限りません。私たち夫婦が上記で挙げたような民族問題に直面してきた大きな理由は、私がセルビア含めて旧ユーゴスラヴィア諸国に大きな関心を持って生活しているからです。

そのため、私がセルビア人女性と国際結婚して直面した民族問題というものは、ある意味で特殊なものかもしれません。

しかしながら、日本人とセルビア人という珍しい夫婦関係・国際結婚で抱える問題を取り上げてみました。

 


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オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト

オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。

お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。

大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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