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アメリカ大統領選挙の結果は、オランダにどのような影響があるのか?

トランプ、大統領選挙勝利

こんにちは。

今回は、本日11月9日(水)のアメリカ大統領選挙の結果が、オランダにどのような影響があるのか、一つの視座として疑問を投げかけたいと思っています。

 

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アメリカ大統領選挙の概要

昨日118日(火)のアメリカ大統領選挙の結果、共和党候補のドナルド・トランプ氏が民主党候補のヒラリー・クリントン氏に勝利し、次期大統領に選出されました!

今回の大統領選挙はCNNの中継番組で状況を見守っていたのですが、選挙結果を見て私は非常に驚きました

 

なぜならば、これまで過激な発言を繰り返す等で米国国内だけに留まらず、世界中から非難されていたトランプ氏が”まさか”本当に選挙に勝利するとは思っていなかったからです。また、トランプ氏が追撃を見せるもクリントン氏の優勢は変わらず、クリントン氏が選挙戦勝利は固いと多くのメディアが報じていたためです。

Independent紙より(参照記事)

Independent紙より(参照記事

今回の大統領選挙は、どちらの候補が勝利しても「歴史的な」大統領選挙になることでも、世界中から注目を浴びていました。

トランプ氏の場合は、選挙期間中に先ほども述べたような過激な発言や女性蔑視発言を繰り返す等で世界中から非難を受けた「ク○野郎」大統領誕生。

クリントン氏の場合は、アメリカ史上初めての女性大統領誕生。

皆さんは、どちらの候補が勝利すると思っていましたか?

 

トランプ氏勝利の背景

http://gty.im/511949610

 

多くのメディアや世界中の国民が予想していた結果とは異なり、劇的な勝利を起こしたトランプ氏。その要因は何だったのでしょうか。

 

「どっちがましか」選挙で人気だったトランプ氏

http://gty.im/589473806

 

私は、今回の選挙を「どっちがましか」という視点で見ていました。

Exit Polls 2016, CNN

CNNの出口調査「○○候補が勝利したら、どう思いますか」 出典:Exit Polls 2016, CNN

 

上記のCNNの出口調査によれば、どちらの候補が大統領になっても「心配だ」「恐ろしい」と答えた回答者が過半数を超えています!(トランプ氏:56%、クリントン氏:53%)

これほどまでに、どちらの大統領候補にも期待されていない大統領選挙はなかったのではないでしょうか。

私は、どちらの候補も好きではありません。クリントン氏は表舞台では「良い政治家」の演技をし、裏では汚職まみれのことばっかりやっていそうな腹黒い印象があり、トランプ氏はあまりにも過激な発言を繰り返したりと大統領職になったら大丈夫かという不安があったためです。

私は、クリントン氏の方がましかなと思っていました。

大方の世論もそんな感じだったのではないかなと思っていました。

 

しかし、実際にはそうではなかったのかもしれません!

CNNの出口調査によれば、質問「何故○○候補に投票しましたか?」に対し、25%の回答者が「敵対候補が嫌いだから」と答えています。そして、この回答者のうち51%がトランプ氏に投票しています!(クリントン氏には39%が投票)

ここで、「敵対候補が嫌いだから」=「どっちの候補者にも魅力は感じないけど、どっちの候補者が嫌いか」=「どっちの候補者がましか」と捉えるとします。

この調査結果から分かることは、回答者の4分の1が「どっちの候補者がましかと」と考えた際に、過半数がトランプ氏に投票している事実です。

 

連邦政府に対する国民の不満、アウトサイダーのトランプ氏

Exit Polls 2016

「連邦政府に対して、どう考えていますか」 出典:Exit Polls 2016, CNN

 

上記の回答から、質問された有権者のうち約7割が現状の連邦政府に不満を抱いていることが分かります。また、連邦政府に不満を抱いている回答者の過半数以上がトランプ氏に投票しています。

連邦政府に不満を抱いている要因として、アメリカ国内の経済格差拡大が年々強まる中、連邦政府が何も対処していないことが挙げられます。2012年の統計では、上位1%の富裕層が保有するアメリカ全体の富に占める割合は42%。上位10%の富裕層が保有する富の割合は77%に達するそうです。

私はアメリカ合衆国で生活したこともないですし、旅行で行ったこともありません。しかしながら、アメリカの大学に通っている妻の妹曰く、アメリカ国内における富裕層と中間層・貧困層の経済格差は私達日本人が思っている以上に凄まじいようです

では、こうした連邦政府に不満を抱いている有権者がなぜトランプ氏を支持したのか。

その理由は、クリントン氏とトランプ氏の選挙出馬背景が大きく異なる点です。

クリントン氏の場合は、皆さんもご存じの通り夫であるビル・クリントンは、かつてのアメリカ大統領でした。また、クリントン氏は2008年大統領選出馬、翌年からオバマ政権の国務長官として連邦政府の一部となって職務するなど連邦政府にどっぷり染まっています

反対に、トランプ氏は実業家として莫大な富を持つ不動産王として有名ですが、これまで連邦政府のみならず、政治に全く関与を持っていない人物です。

全く異なる背景の2候補者のうち、連邦政府側と関与のあるクリントン氏には不信感があり、反対にアウトサイダーであるトランプ氏支持に回った可能性は大いにあるでしょう。

 

国民の代弁者トランプ氏ーMake Unsayable Sayable

http://gty.im/484797712

近年の中東情勢の悪化や世界各地で起きているテロリズム、中東地域からの難民問題等が原因となって、異なる民族・宗教間で軋轢が非常に高まっています。

そうした時代的背景があれど、異なる民族・宗教的背景を持つグループを一括りにして差別的発言をしたり、非難することは倫理的・社会的にタブーです

しかしながら、トランプ氏は選挙期間中に以下のような過激な発言をしていました。

  • イスラム教徒は入国禁止にする
  • アメリカ-メキシコ間の国境沿いに壁を作り、その費用はメキシコ政府に払ってもらう(メキシコからの不法移民問題に対して)

こうした過激な発言をする大統領候補なんて、今までいたでしょうか?

しかしながら、トランプの人気が落ちるどころかどんどん伸びていきました

そうした背景には、上述したような倫理的・社会的なタブーである事柄を公には言えないけれども、多くの国民の心の根底で抱いているということです。

彼らは、公には言えないタブーである事柄をどんどん発言してくれるトランプ氏に魅了されていったのではないでしょうか。

そして、「国民の心の代弁者」であるトランプ氏は、公に発言できない事柄を自身で発言することによって、「国民が発言している」環境を作り上げていると言えるでしょう。

 

アメリカ大統領選挙結果によるオランダへの影響

We will make the Netherlands great again

アメリカ大統領選挙結果を受けてウィルダース自由党首が作成 出典:Geert Wilders公式twitter

 

では、最後にこの選挙結果を受けて、オランダへの影響を考えてみます。

オランダでは、他の欧州諸国フランスやデンマーク等と同様に極右政党勢力の力は近年強まってきています

オランダを代表する反イスラム極右政党:自由党(PVV)党首ヘルト・ウィルダースは、早速この選挙結果を受けて、ツイッター上にて以下のように述べています。

 

歴史的な勝利だ!革命だ!私達の国にも(偉大な)オランダを取り戻そう!

Geert Wilders, twitter

 

移民に寛容だと言われるオランダでさえ、こうした極右政党が力を伸ばしてきている現状は、オランダ国内でも移民に対して懐疑的な見方が強まっている証拠です。

30年以上に渡ってオランダに住む友人曰く、「政治機構中心地であるハーグの市民でさえ、多くの移民たち、特にモロッコやトルコ系移民に嫌悪感を抱く人たちが増えてきた。あと5年、10年にはオランダでも大きな政治的変化が起きる可能性は高い。」

今回の選挙結果は、今年6月に国民投票で決まったイギリスのEU離脱決定以上に、欧州諸国の極右政党に活気を与えるだけでなく、欧州諸国の政治や移民政策にも大きな影響を与えることとなると思われます。

そのため、オランダ在住者だけでなく欧州在住者の方は、今回のアメリカ大統領選挙の結果をアメリカ大陸だけの影響と軽視するのではなく、自身の住んでいる国・地域にも今後影響があり得ることを考慮して、政治・国際情勢に注目していきましょう。

 

参考サイト
Exit Polls 2016, CNN(参考記事

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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