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旧ユーゴ諸国民が世界的リーダーに持つ印象の違いから、国民意識の背景を探る!

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メルケル首相(ドイツ)

アンゲラ・メルケル首相(ドイツ)

アンゲラ・メルケル首相(ドイツ) 出典:https://www.cdu.de/

国名好意的否定的
スロヴェニア53%42%
クロアチア64%26%
ボスニア72%23%
セルビア38%48%
コソヴォ77%2%
マケドニア54%29%
日本33%18%
オランダ64%20%

「ドイツの女帝」と呼ばれるドイツのメルケル首相。

上記の結果で挙げた国で唯一セルビアだけが、「好意的」よりも「否定的」と回答する割合が高いです。

その背景には、メルケル首相のセルビアに対する外交姿勢(EU加盟手続きなども含めて)の不公平感を感じる国民の割合が多い現れだと思います。

 

メルケル首相はクロアチア政府やコソヴォ政府に対してそれほど口出しはせずに暖かく見守る一方で、セルビア政府に対しては常に批判的な姿勢を示しています。こうした同首相の姿勢は「否定的」な印象へ繋がっているのでしょう。

コソヴォでの異常なまでに高い「好意的」と答える割合(77%)を見てもらえれば明らかです。

 

EU加盟国で常にドイツと同調してきたスロヴェニアで「否定的」と答える割合が高い(42%)ことは、意外な結果でした。スロヴェニア国民の間で、メルケル首相の対外政策に不満が募っているのでしょうか?

 

習近平国家主席(中国)

習近平国家主席(中国)

習近平国家主席(中国) 出典:sputnik/Sergey Guneev

国名好意的否定的
スロヴェニア43%27%
クロアチア35%16%
ボスニア46%31%
セルビア61%18%
コソヴォ8%26%
マケドニア20%29%
日本2%71%
オランダ26%33%

近年、バルカン地域へどんどんお金をばら撒いている中国の習近平国家主席。

日本では同主席を大きな脅威として感じているために、「否定的」と答える割合が圧倒的に高い結果となっていることは想像の範囲内ですね。

 

中国は旧ユーゴ諸国から遠く離れた国であるとともに、近年の中国インフラ投資の積極的な流入により、「否定的」に取られている国はコソヴォ以外に内容に見受けられます(中国はロシア同様に、コソヴォの独立を承認していません)。

その中でも、中国との政治的・経済的・文化的に幅広く密接な関係を近年になって築き上げてきているセルビアは、「好意的」と回答する割合が非常に高くなっています。

セルビア国内の世論調査では、どんどん流入してくる中国資本の流入に対して中立的だと回答する人が多い一方で、インフラ投資を積極的に行っている中国政府に対しては「好意的」に捉えている国民は多いということが分かります。

 

エルドアン大統領(トルコ)

エルドアン大統領(トルコ)

エルドアン大統領(トルコ) 出典:CNN

国名好意的否定的
スロヴェニア9%79%
クロアチア12%66%
ボスニア61%29%
セルビア25%55%
コソヴォ57%10%
マケドニア47%29%
日本6%21%
オランダ3%83%

最後に、西ヨーロッパ諸国から独裁者というレッテルを貼られているトルコのエルドアン大統領。

エルドアン大統領といえば、2017年3月にオランダを「ナチスの残党」と侮辱したり、「ボスニア紛争中に起きたスレブレニツァの悲劇で生じた約8,000人のボスニア人はオランダ兵が虐殺した」などと過激な発言を繰り返していたことが記憶に新しいです。

※スレブレニツァの虐殺とオランダ兵の関係に関しては、以下の記事を参照してください。
「意外と知らないオランダとセルビアの関係②-オランダ軍とボスニア紛争で起きた悲劇-」

この影響が明らかにオランダの世論調査の結果に表れていますね。

 

オランダやクロアチア、スロヴェニアでの「否定的」と回答する割合が高い国々がある一方で、暴君エルドアン大統領を「好意的」に捉えている割合が高い国々があります。

それは、ボスニアとコソヴォですね。

ボスニアは、全人口の約50%をイスラム教徒であるボシュニャク人(旧ムスリム人)が占めており、彼らは同じ宗教を信仰するトルコ国民そしてエルドアン大統領を支持する傾向にあります。

上記と同じ理由で、コソヴォ全人口の約95%を主にイスラム教を信仰しているアルバニア人が占めているために、エルドアン大統領を「好意的」と回答する割合が高くなっています。

 

反対に、2017年ごろからエルドアン大統領と急接近してきたセルビアでは、「否定的」と回答する割合が高くなっています。今後の両国間における政治的・経済的関係の強化によっては、近い将来に数値が逆転する可能性は大いにあると思います。

 

総括

このように主要な世界的リーダーに対するそれぞれの旧ユーゴ諸国民が持つ印象というのは、国境を接していても大きく異なることが分かります。

こうした状況には、旧ユーゴ諸国が現代社会でも抱えている政治的な事情であったり、歴史的な背景であったり、経済的な事情など複雑な要素がたくさん絡んでいることが理由となっています。

だからこそ、こうした世論調査の結果を国別に比較することによって、それぞれの国々の外交姿勢であったり政治的な立場を考えてみることができるとも言えます。

 

最後になりますが、この「世界的リーダーに対する印象」世論調査の結果の概要およびレポート資料は、こちらの公式サイトからダウンロードして読むことができます。

主要な世界的リーダーは様々な国々からどのように思われているのだろうかと気になる方はぜひ読んでみてください。

 


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フリージャーナリスト&英語・セルビア語通訳者
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オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト

オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。

お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。

大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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