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オランダの医療・健康保険制度と保険会社加入方法を徹底解説!

オランダの健康保険加入方法とホームドクターの探し方

オランダだけでなく、どの国に海外移住する際でも現地の医療制度や健康保険制度はどうなっているのか、現地の病院にかかるときはどうすればいいのか等不安に思われると思います。

その背景には、日本の健康保険制度や日本での病院の通院の仕方などが、必ずしも海外で同様の形態を取っているわけではないために、一から現地の医療システムを知る必要があるからです

他のヨーロッパ諸国の医療制度や健康保険制度がどのようなシステムを採用しているのか分かりませんが、オランダのシステムは日本のそれとは大きく異なります。そのため、当初の私は非常に困惑し、どのように自分で決めればいいのか分からないことが多々ありました。

こうした経緯もあり、今回はオランダの医療・健康保険制度と保険会社加入方法を徹底解説したいと思います。

以下に記載していく内容は、オランダ在住外国人の多くが参考にしているオランダ生活総合情報サイトIamExpatの情報を参考に、私が実際に体験した方法でまとめています。

私が参考にした記事は、以下の通りです。

 

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オランダの医療制度

以前からオランダの医療制度(ヘルスケア)は高く評価されています。スウェーデンのある健康管理調査機関が毎年行っている調査報告によれば、オランダの医療制度は年連続でヨーロッパで位に選出されているほど高評価されています(こちら参照)。

私はまだ実際のオランダの医療制度に触れたこと、つまり病院に通ったことがないために、この調査結果が示すような具体的な例に触れたことがありません。

ただし、オランダ語を話せない外国人の人である私が今のところ高評価出来る点としては、オランダの医師ほぼ全員が英語対応可能であることから、外国人専門病院などに行く必要性がないということです。

 

具体例を挙げて、オランダの医療システムが日本のそれと大きく異なる点を簡単に紹介してみましょう。

日本の場合では、例えば各症状に応じて各診療科の医者にかかると思われます。例えば、自身で聴覚に違和感を感じるのに内科に行く人はいないですよね?

[例:日本の場合]

  • お腹が痛い→消化器内科
  • 皮膚に発疹→皮膚科
  • 排尿時に違和感→泌尿器科
  • 耳がおかしい→耳鼻科

 

オランダの場合では、日本の医療制度とは異なり、どのような症状であれまず初めに「ホームドクター」と呼ばれる総合科医(General practitioners)で診察を受けて、ホームドクターの判断で専門科医への受診を勧められます。

[例:オランダの場合]

  • お腹が痛い→消化器内科  →         →消化器内科
  • 皮膚に発疹→皮膚科    → ホームドクター →皮膚科 
  • 排尿時に違和感→泌尿器科 → での診療+判断 →泌尿器科
  • 耳がおかしい→耳鼻科   →         →耳鼻科

上記の例のように、自身で身体のどこに異変を感じ、症状の自己分析からどこの専門科医に行けばいいのか分かっていても、ホームドクター(総合科医)で診察を受けなければ、専門科医への診察に進めないことになります。

※ホームドクターの詳細や登録の仕方に関しては、以下の記事を参照してください
オランダのホームドクターと歯医者、薬局の探し方・登録方法を徹底解説

 

個人的には非常に面倒くさい医療システムであると思っていますが、これがオランダの医療制度ならば、それに従うしかありません。

 

オランダの健康保険制度の仕組み

日本の健康保険は、国民健康保険と社会保険の種類に分類され、前者は各市区町村が運営し、後者は各都道府県や政府から認可を受けた健康保険組合が運営しています。つまり、日本の健康保険は公的機関によって運営されています。

反対に、オランダの健康保険はかつて公的機関と民間会社によって運営されていましたが、2006年より民間会社のみによって運営されるようになりました。そのため、日本のように自営業だから国民健康保険に加入、会社勤めだから会社が指定する社会保険に加入するということではなく、自身で複数ある民間の健康保険会社の中から一つの会社を見つけなければなりません

「オランダに移住しても病院に行くことはそんなにないと思うし、民間で運営されているから強制保険ではないでしょ」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

オランダに居住、また労働するすべての者は民間会社が提供する健康保険に加入することが法的に義務付けられています

例えば、私のように個人事業主としてオランダに移住し、居住許可証(Residence permit)を取得する日本人の長期滞在予定者は、移民局より居住許可証を受け取ってから4以内に健康保険に加入する義務があります。もし期限内に加入していないことが発覚されると、政府より警告書が送付され、それでも加入しなければ罰金が徴収されます(2016年時は366ユーロ)。

それでも加入しなければ、政府側が強制的に健康保険会社に加入させる手段が講じられるようです。

ちなみにヵ月間の期限ギリギリになって健康保険に加入して、保険料を節約しようと考えても無駄になります!

なぜならば、健康保険加入の義務は居住許可証の発行日から生じるため、残念ながらその日付に遡って健康保険料が徴収されます(私は当初この方法で節約できるのではと考えていました)。

また、オランダの健康保険制度の特徴として、各個人の年齢や健康状態に関係なく平等の医療制度を享受し、平等の健康保険料金を支払う義務があります。そのため、日本のように年齢によって自己負担金が異なるということはありません

そして、健康保険会社に加入する際に絶対に必要なものは、以下になります。

  • 居住許可証
  • 市役所で住民登録する際に入手するBSNナンバー
  • 個人の銀行口座(デビットカード)

病院で診察・治療を受けた際に発生する料金は、病院の窓口で支払うわけではありません。加入している健康保険会社に請求書が送付され、健康保険会社が登録された銀行口座から料金を徴収する形になります。

また、18歳未満の子供に対する健康保険料は無料です。もちろん子供の親が扶養者として子供を健康保険に加入させる形態になりますので、生後ヵ月以内に希望する健康保険会社に登録する必要があります。必ずしも親が加入する健康保険会社を選ぶ必要はなく、自由に選んでもいいようです。

 

民間の健康保険会社が提供する健康保険の種類

次に、オランダの健康保険会社が提供する健康保険には、以下の種類があります。

  • 強制的「基礎」健康保険パッケージ(basisverzekering
  • 選択的「追加」健康保険パッケージ(aanvullende verzekering

 

強制的「基礎」健康保険パッケージ(basisverzekering

その名の通り、法的に加入することが義務付けられているものになります。そして、この「基礎」健康保険パッケージが保障する医療範囲は、オランダ政府によって法的に定められているため、すべての健康保険会社が提供する健康保険パッケージはすべて同じ内容になります。

すべての健康保険会社が提供する健康保険パッケージが保障する医療範囲は同じでも、保険料は各社異なります

なぜ同じサービスを提供しているのに、保険料は異なるのでしょうか?

その理由は、この「基礎」健康保険パッケージで保障されない治療を追加で保障してくれるパッケージ(後述する選択的「追加」健康保険パッケージ)の多様な種類の有無や保険会社のサポート体制等で保険料が異なります。2017年現在の標準的な「基礎」健康保険パッケージの各社料金を見てみると、92~122ユーロと最大で約30ユーロもの保険料の差があります。

 

またオランダの健康保険制度で非常に独特だなと思うのが、「自身で自己負担額を決める」ことです。日本にはない制度のため、理解しにくい制度ですが以下で説明します。

日本の場合では、高齢者を除く一般市民の治療費の自己負担額は割となり(例:治療費が計100ユーロの場合、自己負担額は30ユーロのみ)、治療を受ける度に支払いをする制度を取っています。

しかしながら、オランダの場合では日本の制度とは全く似てもつかず、自身で年間の自己負担金枠を決めて、自己負担金枠以上の治療費はすべて保険会社が支払う仕組みとなっています。

この自己負担金枠の上限は2017年度では385ユーロと設定されてあり、例えば自身で自己負担金枠を385ユーロに設定した場合、年間に発生する385ユーロ以上の治療費は自身で支払う必要性がありません。反対に、385ユーロまではすべて自己負担する必要性があります。

このオランダの健康保険制度を簡単に表現するならば、385ユーロ以上の治療費が発生する治療を受けたその後、毎日のように病院に行って治療を受けても自己負担額がで、無料で治療を受けられるということです。

この自己負担金枠は、385885ユーロまで100ユーロごとに自身の好みで設定することが可能であり(2017年現在)、もちろん自己負担金枠が低ければ「基礎」健康保険パッケージ保険料は高くなり、自己負担金枠が高ければ保険料は安くなります。

 

この「基礎」健康保険パッケージが保障する主な医療範囲は、以下の通りになります。

  • 医者による診察
  • 入院、手術、緊急治療
  • 救急車による搬送
  • 治療薬の処方
  • 出産への対応
  • 血液検査
  • 18歳以下のデンタルケア
  • 18歳以上の制限されたデンタルケア(歯科治療やX線撮影、抜歯は対象外)
  • 精神医療

上記の医療範囲を見てお気づきになるかと思いますが、18歳以上の成人への基本的な歯科治療は「基礎」健康保険パッケージの対象外になります。日本だったら、基本的な歯科治療が健康保険対象内なので驚きますよね?

では、どうすれば歯科治療が保険対象内にすることができるのでしょうか?それは、もう一つの健康保険パッケージをオプションで加入する必要があります。

 

選択的「追加」健康保険パッケージ(aanvullende verzekering

この選択的「追加」健康保険パッケージは、前者の「基礎」健康保険パッケージとは異なり、強制的に加入する義務がありません。そのため自身の健康状態を考慮し、必要な治療行為が適用されるものを選択する必要があります。

選択的「追加」健康保険パッケージの主な内容は、以下の通りになります。

  • 18歳以上のデンタルケア(歯科検査、歯石除去、詰め物、インプラント等)
  • 海外旅行中の緊急治療
  • 鍼療法やカイロプラクティック、ホメオパシー療法等の特殊な治療
  • 予防接種
  • 避妊
  • 補聴器
  • 美容整形
  • 眼鏡やコンタクトレンズ

 

これら上記のようなパッケージは、「基礎」健康保険パッケージに各種オプションとして自由に加入するものになっています。もちろんオプションとして加入するためには追加料金が発生し、「基礎」健康保険パッケージの保険料に上乗せされていく形になります。

また健康保険会社によって、「追加」健康保険パッケージの内容に違いがあるため、すべての健康保険会社がすべてのパッケージを提供しているとは限りませんし、保障内容やサポート体制も異なります。

その点が、健康保険会社を選択する上での注意点になります。

 

健康保険会社の選び方

これまでに説明してきたように、オランダの健康保険会社すべては民間によって運営されており、自由市場の元で自由競争が行われています。そのため、日本とは異なり、各個人の状況に適した健康保険会社を選び、「基礎」健康保険に加入するとともに、必要な「追加」健康保険を選んで同時に加入する必要があります。自由ではありますが、少し面倒くさいですよね。

現地のオランダ人なら日々の生活で収集した情報を基に、どの健康保険会社にするか簡単に決められると思いますが、私のように外国人にとってはどれがいいのかさっぱり分かりませんよね。

そこでオススメしたいのが、オランダの健康保険会社を比較できる以下の2つのサイトです。

オランダ健康保険会社比較サイト Zorg Wijzer

オランダ健康保険会社比較サイト Zorg Wijzer(英語表記あり)

オランダ健康保険会社比較サイト Independer(オランダ語表記のみ)

オランダ健康保険会社比較サイト Independer(オランダ語表記のみ)

前者Zorg Wijzerは、英語表記ページがある比較サイトですが検索結果として表示される件数が後者Independerよりも少ないです。しかしながら、オランダ語が分からない方にとっては使いやすい比較サイトだと思われます。

どちらの比較サイトもサイドバーに検索フィルター機能として、通院可能な病院の設定や自己負担金枠の設定、「追加」健康保険パッケージとしての歯科治療枠を選択したりして検索することができます。

これらの比較サイトでは、自身の要望と保険料を照らし合わせて、最も適した保険会社をオススメしてくれます。また、評価機能として顧客の採点や感想なども参考にして、自身に合った健康保険会社を見つけてみて下さい。

 

次に実際に、健康保険会社が提供する健康保険パッケージを例にして説明したいと思います(例として使う健康保険会社は英語表記ページのあるZilveren Kruis)。

 

通院可能な病院がすべてか?一部か?

基本的な健康保険形態の選択

基本的な健康保険形態の選択

まず最初の選択肢として、通院可能な病院が「一部」か「全部」かの選択になります。ちなみに「一部」というのは本当に一部であり、居住住所の近くにあればいいかもしれませんが、私の居住所の場合近くにはありませんでした。

そのため、真ん中の「全部」の病院に通院可能のタイプを選ぶことを推奨します。

ただし、通院可能な病院が制限されている「一部」のパッケージの方が健康保険の基本的なパッケージ料金が安くなります。

 

自己負担金枠の設定

自己負担金枠の設定

自己負担金枠の設定

次に、自己負担金枠の設定をします。自己負担金に関しては上述したように、年間を通して自己負担金枠を超えた場合の治療費は、すべて健康保険会社が負担する形になります。

そのため、自己負担金枠を385ユーロよりも大きい金額の枠に設定すれば、その分支払う保険料が安くなります(例えば、この健康保険会社では885ユーロにした場合は385ユーロの場合と比べて20ユーロ保険料が安くなります)。

例えば、自己負担金枠を385ユーロに設定をしても年間で385ユーロ以上の治療費が発生しなかった場合は、全額自己負担なので健康保険に加入している意味がほとんど感じられないと思います。そのため、現在の健康状態に不安もなく、病院に通う程の病気にもかからないと思われる方は、自己負担金枠を高めに設定して保険料を安くすることも一つの考えです。

 

選択的「追加」健康保険の選択

選択的「追加」健康保険

ここからは、強制的「基礎」健康保険ではなく選択的「追加」健康保険(オプション)の選択になります。物理療法の処置や歯科矯正、海外での緊急治療、予防接種、禁煙療法プログラム等へ健康保険適用にするかどうかを選択することができます。

この健康保険会社の場合では、保険料が高ければ高いほど健康保険の対象内のサービスが充実していきます。もちろん、必要なければ強制ではないためオプションとして加入する必要はありません。

歯科治療

歯科治療

この健康保険会社では、歯科治療の「追加」健康保険パッケージが別枠で用意されています。やはり、歯科治療は多くの人が加入するものであり、他の健康保険会社のサイトでも別枠で用意されていることが多いです。

この歯科治療の「追加」健康保険パッケージが5種類に分けられていると思いますが、大きな違いは歯科治療費がいくらまで保障されるのかによって分けられています。この健康保険会社の場合は、250~1250ユーロまで設定されており、歯に虫歯などの多くの問題を抱えている人は保障金額を高めに設定したほうがいいのかもしれません。

またオランダ人の多くは年に最低でも回、つまり半年に回は歯医者を受診して歯の状態をチェックする検診と歯石取りをしてもらっているようです。そのため、最低金額のパッケージも2回の検診と歯石取りが保障されている形になります。

 

毎年年末に健康保険の見直し期間がある

例えば加入した健康保険のパッケージに不満があったり、自身の健康状態に変化が生じて、契約したパッケージを変更したい場合はすぐに出来るとは限りません。

しかしながら、毎年の年末には健康保険の見直し期間が設けられており、大体11月から新年が始まる日までの2ヶ月弱の間に、自由に健康保険会社や加入している健康保険のパッケージを変更することができます。

こちらの情報に関しては、別記事にて詳細に説明していますので、以下の記事を参照してください。

オランダ健康保険会社や健康保険の契約内容を見直す必要はあるのか?

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。

大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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