KOTARO JOURNAL

【元居住者が検証】セルビアの治安は本当に悪いのか?

多くの日本人が観光でも訪れたことのない国セルビア。

その一方で、「セルビア」という国名を聞くと、1990年代の旧ユーゴスラヴィア紛争が起きた国の一つであることから「治安が悪い」という印象を抱く人が大勢いると思います。

また、セルビアは東欧に位置している国であり、多くの日本人にとって「東欧=治安が悪い」というイメージが深く根付いていることも相乗効果として、「セルビア=治安が悪い」と思われてしまっているだろうと思います。

私はかつて2011/2012年にかけてセルビアの首都ベオグラードに約一年間ほど居住していた背景があり、多くの人にそのことを話すと「セルビアって治安は大丈夫なの?」とよく聞かれます。

 

今回の記事では、多くの日本人が疑問に感じているであろう「セルビアは治安が悪いのか」どうかを個人的な体験を通して感じたことを基にして検証するとともに、ベオグラード観光中に気をつけるポイントをまとめたいと思います。

 

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「治安が悪い」と思われがちだけど、実際は……

ベオグラード中心地は多くの市民と観光客でいつも賑やか

ベオグラード中心地は多くの市民と観光客でいつも賑やか ※執筆者が撮影

冒頭でも述べたように、セルビアは1990年代の旧ユーゴスラヴィア紛争が起きた国であるために「治安が悪い」と多くの日本人に思われているはずです。

結論から述べると、セルビアは治安が悪いとはまったく思いません。

もしみなさんが日本レベルの「治安の良さ」を求めているならば、そもそもヨーロッパのどこの国に行っても「治安の良さ」は感じないと思います。

 

2011/2012年にかけてセルビアのベオグラード大学に留学していた際に、最初の半年間を学生寮に住み、残りの半年間を一般のアパートを賃貸しながら約1年間生活していましたが、一度も危険な目に遭うどころかトラブルに巻き込まれたことはありませんでした。

留学期間を終えてから、約1年に1回くらいはセルビアのベオグラードに戻って夏を過ごしたり、妻の家族に挨拶したりしていますが、日本人の私が一人で歩いていても怪しい人物に絡まれることはありませんでした。

学生寮に住んでいた頃は、ベオグラードの街の中心部でベロベロに酔っ払うまで飲んだあと、夜中に1時間弱かけて学生寮まで歩いて帰ったことも何度もありましたが、トラブルに巻き込まれることはありませんでした。

 

ベオグラード冬の夜にライトアップされるイルミネーション

ベオグラード冬の夜にライトアップされるイルミネーション ※執筆者が撮影

セルビアのベオグラードで居住または観光した日本人の中には、トラブルに巻き込まれたことのある方はこれまでに絶対にいるはずでしょうが、個人的な体験から述べると日本人が抱くような「治安の悪さ」を感じたことはまったくありません。

ただし、例えば土地勘のない日本人女性が夜中に一人で出歩いていた場合には、トラブルに巻き込まれる確率は高くなるでしょう。

けれども、こうしたケースは日本を含めて世界全体で同じことだと思います。ありきたりなことを言うと、トラブルに巻き込まれたくない女性は夜中に一人で出歩かないことです。

また夜になって人影が見当たらなかったり、電灯がなくて暗い通りがある場所は極力避けて、人通りが多い場所を選んで歩きましょう!

 

 

ただし、ベオグラードの街も夜になると治安が一気に悪くなる場所があります。その場所には夜中に近づかないようにすべきと思うので、次の章でどの場所なのかを詳しく説明します。

 

夜になると治安が一気に悪くなる場所もある

これまでにベオグラードに滞在し、何度も夜中に通ってきた場所でもありますが、個人的に感じたものと周りの友人から聞いた話も総合して、どの場所が夜になると治安が悪くなるのかを説明します。

 

バスの発着所となっているZeleni Venac(ゼレニ・ヴェーナツ)

バスの停留所が集まるZeleni Venac(ゼレニ・ヴェーナツ)

バスの発着所となっているZeleni Venac(ゼレニ・ヴェーナツ) 出典:Blic/Ana Paunkovic/RAS Srbija

バスの発着所となっているゼレニ・ヴェーナツは多くのベオグラード市民が仕事への通勤や学校への通学に使うため昼間は多くの人が常にバスを待っている場所になります。

また、このバスの発着所のすぐ隣には新鮮な野菜などを販売している大きな青空市場があることから、多くの日本人観光客も訪れるスポットになっていると思います。

このゼレニ・ヴェーナツは昼の間にバスを待っている人数の多さで「治安が悪い」とは感じませんが、夜になるとその様子が急変します。

 

そもそもゼレニ・ヴェーナツ付近には明るい電灯がたくさん設置されているわけではないため、日が沈んだ夜になると当たりが大分真っ暗になります。そして、見た目からして怪しい雰囲気を醸し出す不審者らしき人物をよく見かけます。

私がベオグラード大学に留学していた2011/2012年頃には、夜にゼレニ・ヴェーナツでバスを待っていても何とも思いませんでしたが、最近はその様子が大きく変わったなという印象を受けます。

例えば、急に奇声を上げたりする人アルコール中毒者のような人独り言を常にブツブツと呟いている人などを見かけます。

こうした光景には慣れている私は特別気にしたりするわけではありませんが、セルビア語を話さず土地勘のない人は極力近づかないようにしましょう。

 

またベオグラードの中心部である共和国広場からゼレニ・ヴェーナツへ向かう際に、階段を降りて地下道を通る道がありますが、こちらの地下道も夜になると怪しい雰囲気を出す場所となるため、夜中に一人で近づくことはオススメしません。

 

ベオグラード大学経済学部棟前の公園(ルーク・チェロヴィチ公園)

ベオグラード大学経済学部棟前の公園(ルーク・チェロヴィチ公園)

ベオグラード大学経済学部棟 出典:Index.rs

ベオグラードのバス中央駅(ベオグラード市街や国外に向かうバス)やベオグラード鉄道駅の近くに、ベオグラード大学の経済学部棟があります。構内入り口付近の建物が真っ赤に染まっていることが特徴となっています。

この経済学部棟の前には広場のような公園があり、同学部に通う学生が休憩時間におしゃべりしたり、市民のイヌの散歩の通りやお年寄りの憩いの場に使われている場所となっています。

しかし、この場所も夜になると、一気に変わります。

 

最近になってベオグラード市当局がガタガタで崩壊している公園をリノベーションして大分キレイな公園になりましたが、私が留学していた2011/2012年には売春婦(セルビアでは違法)が男を引っ掛ける場所として使われていたり、麻薬密売人の売買所になっていました。

現在はおそらくベオグラード警察が定期的な見回りをしていると思うので、そうした犯罪に関わるような人たちの数は減ったと思います。

しかしながら、夜から明け方になるまでほとんど人影も見えなかったり、時としてフーリガンなどの溜まり場になったりする可能性もあるので注意しましょう。

私も明け方にセルビア国外へバスで向かう際に、日が登っていないこの公園を通りましたが、やはり不気味な雰囲気を感じます。

危ない人がいるかもしれないので、夜中にこちらの公園を絶対に通らないようにしましょう!

 

 

フーリガンに要注意!

レッドスターのスタジアム「マラカーナ」へ向かうサポーターたち

レッドスターのスタジアム「マラカーナ」へ向かうサポーターたち ※執筆者が撮影(2017年時)

セルビアではサッカーとバスケが最も人気なスポーツとして、多くの国民(主にセルビア人男性)から愛されています。

その反面、通常のサポーターではなく、試合観戦中だけでなくその試合開始前後にも周りに暴力をふるったり、警察と衝突したりして大きな迷惑をかける「フーリガン」の存在に注意する必要があります。

 

とりわけ、サッカーとバスケのセルビア国内リーグでほぼ2強となっている「レッドスター」と「パルチザン」のフーリガンは気勢が激しく、暴力事件を起きたりすることが日常茶飯事です(参考に上記の動画を参照)。

特に、両チームのダービーマッチとなるとその危険度が最頂点に達します。そのため、試合前からベオグラード市内至る所にはたくさんの警察や特殊部隊が配備されて、物々しい雰囲気を感じさせます。

過去には両チームのダービーマッチで死者が出たりすることも何度もあり、セルビアの一般市民からも恐れられている存在です。

この記事を呼んでいる皆さんの中で、ベオグラードを観光している時にもしかしたら両チームの試合がベオグラードのどこかで行われる可能性があります。

街中で両チームのユニフォーム(レッドスターは赤白の縦縞、パルチザンは白黒の縦縞)を着用しているセルビア人を見かけたら、近づかないようにしましょう!

 

レッドスター対パルチザンのダービーマッチで、パルチザンサポーターが陣取るゴール裏の様子

レッドスター対パルチザンのダービーマッチで、パルチザンサポーターが陣取るゴール裏の様子 ※執筆者が撮影(2012年時)

中にはベオグラード観光中にサッカーの試合、例えば日本でも人気のあるレッドスターやパルチザンの試合を観戦したい方もいると思いますが、トラブルに巻き込まれる可能性が非常に高いので、現地人であるセルビア人なしで行くことをあまりオススメしません。

もしセルビア人の知り合いがいれば、同行してもらうようにお願いしましょう!

もし試合に行くとしても、スタジアムのゴール裏に当たる北側と南側観客席は絶対に避けましょう!

ゴール裏には大量のフーリガンが集結するとともに、フーリガンの中には人種差別者も多数いることから暴力事件に巻き込まれる可能性があります。また、同じチームのフーリガン同士でさえ、言い争いで殴り合いの喧嘩が勃発することがしばしば起きます。

サッカー好きなら試合観戦したいという気持ちは私もよく理解できますが、各自の責任にて判断してください。

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。

お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。

大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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