KOTARO JOURNAL

ヒラリー・クリントンの敗北演説から学ぶこと

ヒラリー・クリントン 敗北演説

ヒラリー・クリントン氏(以下、クリントン)の敗北演説の一部始終をリアルタイムで見ていた私は、彼女の一政治家としての姿勢、アメリカ合衆国の女性代表としての姿勢に非常に感銘を受けました

それと同時に、人々の心に訴えかける彼女の姿勢は、このようにブログを始めた私にとって学べる点があると感じました

まずは、クリントンの敗北演説の概要をお話したいと思います。

 

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大統領選挙の結果から敗北演説までの流れ

http://gty.im/621952578

2016年11月8日(火)に行われたアメリカ大統領選挙の結果、共和党候補のドナルド・トランプ氏(以下、トランプ)が大方の予想を裏切って、次期大統領となることが決定しました。

※先日、アメリカ大統領選挙とオランダとの関係について記事を書きました!

 

アメリカ現地時間11月9日(水)明け方、クリントンはトランプにアメリカ大統領選挙敗北を電話にて伝えたとされています。

私は、今回の結果を受けてクリントンがニューヨークの多くの支持者が集まる会場で、すぐに何かしらの演説を行うと思っていましたが、翌日の朝に演説を行うことを発表しました。

その理由は、彼女の中で「まさか」トランプ氏に敗北するとは全く予期していなかったため、頭が真っ白な状態だったのではないかと考えられます。

アメリカ現地時間11月9日予定されていた時刻(10時30分)より1時間遅れて、クリントンの敗北演説が開始されました。

 

クリントンの敗北演説

http://gty.im/621951886

今回の大統領選挙の結果を受けたクリントンの演説は、非常に繊細な内容のものになると私は思っていました。

なぜならば、

  1. 2008年大統領選挙に出馬して、民主党大統領候補の座を争ったバラク・オバマ氏(現米国大統領)に敗北している過去があり、2度目の大統領選挙敗北は精神的に辛い状態を引き起こしていると予測したため
  2. 彼女の年齢(69歳)から考えて、4年後の大統領選挙出馬に体力的に厳しいと予測でき、政界から身を引く可能性があるため

 

しかしながら、実際の彼女の敗北演説は私の憶測を見事に裏切るように、全体的に見れば非常に前向きな内容でした。

 

演説冒頭

クリントンが登壇すると、集まっていた支持者たちは総立ちになって大きな拍手を始めます。この拍手はなんと約50秒間に渡って続きました。また、この温かい壮大な支持者の歓迎によって、クリントンの蒼い両目には光るものがあったように見えます。

演説の冒頭は、今回の敗北を受けて彼女の率直な気持ちであろう悔しさ、失望が前面に出ていました

 

This is not the outcome we wanted or we worked so hard for and I’m sorry that we did not win this election for the values we share and the vision we hold for our country.

訳:この結果は私達が望んだものでも、努力して手に入れようとしたものではありません。そして、私達が共有する価値観やこの国(アメリカ)に対する将来の展望を実現するために頑張ってきた、この選挙に勝利することが出来なかったことを残念に思っています

I know how disappointed you feel because I feel it too,……. This is painful and it will be for a long time,…….

訳:みささんがどれほど失望しているのかよく分かります。なぜならば、私も同じ気持ちだからです。……この結果は非常に苦しく、この痛みは長く消え去らないでしょう。……

 

こうした内容から、クリントンが今回の選挙戦の勝利を信じてやまなかったこと、そしてそれを実現するために一緒に戦ってきた仲間(支持者)たちの期待に添えなかったことに失望していることが分かります。

 

演説中盤

演説中盤では、これまで支えてきてくれた副大統領候補や家族、支持者たちに感謝の言葉を述べるとともに、社会的少数者の人々をしっかり考えていること、また次世代の若者、特に女性に強く訴えかける内容が非常に印象的でした。

 

社会的少数派への配慮

We’ve spent a year and a half …… to say …… that we believe that the American dream is big enough for everyone – for people of all races and religions, for men and women, for immigrants, for LGBT people, and people with disabilities. For everyone.

訳:私たちは1年半もの長い年月を費やし、アメリカン・ドリームはすべての人々に行き届くほど巨大であることを伝えてきました。そうです、すべての人種、異なる宗教を信仰する人々、男性そして女性、移民の人々、LGBTの人々、障害者の方々、すべての人々です

「~女性、移民の人々~」となる箇所から、クリントンの語気が強まり、強調しながら話しているのが非常に伝わってきました。この部分は、選挙期間中から変わらず、且つ敵対候補のトランプと大きく異なる目線ですね。

 

若者への応援メッセージ

And to the young people in particular, I hope you will hear this. …… You will have successes and setbacks, too.This loss hurts, but please never stop believing that fighting for what’s right is worth it. It is – it is worth it.

訳:特に若者の皆さんによく聞いてもらいたいことがあります。……皆さんもまた、私のように(これからの人生において)成功と挫折を経験するでしょう。今回の敗北はとても苦しいです。しかしながら、自分が正しいと信じるもののために戦うことは、大きな価値があるものだと信じ続けて下さい。本当に大きな価値があるんです。

 

アメリカ国民でもなく有権者でもない私は部外者でありながら、この箇所を聞いていて非常に勇気づけられました

私は大学時代に一度大きな挫折を経験しました。もちろん、第3者から見れば挫折には程遠いレベルかもしれません。しかしながら、これまで挫折を経験してこなかった私としては、非常に苦しみましたし、人生の終わりのように感じてしまいました

そうした個人的な背景もあり、まるで自分に訴えかけられているかのような感覚に陥りました。

 

「ガラスの天井」を打ち破る次世代への期待

Now, I – I know – I know we have still not shattered that highest and hardest glass ceiling, but someday someone will and hopefully sooner than we might think right now.

訳:そして、私が一番分かっていることですが、私たちは最も高く位置し、最も頑丈にできたガラスの天井をまだ打ち破っていません。しかしながら、いつか誰かがきっと打ち破ってくれるでしょう。その時は、今私達が思っているよりも早くに訪れることを期待しています。

 

「ガラスの天井」を打ち破るのは、自分ではない誰かに期待していることから、政界引退を仄めかしているように聞こえました。

ちなみに、「ガラスの天井」とは、「資質又は成果にかかわらずマイノリティ及び女性の組織内での昇進を妨げる見えないが打ち破れない障壁」(Wikipediaより引用)のことを一般的に意味していますが、クリントンが意図するものは「女性」です。この「ガラスの天井」という言葉は、2008年の民主党大統領候補者争いでオバマに敗北した後の演説でも発言されています。

 

Although we weren’t able to shatter that highest, hardest glass ceiling this time, thanks to you, it’s got about 18 million cracks in it, and the light is shining through like never before, filling us all with the hope and the sure knowledge that the path will be a little easier next time.

訳:私達は最も高く位置し、最も頑丈に出来たガラスの天井を今回打ち破ることはできませんでしたが、皆さんのおかげで約1800万ものヒビが割れました。そこから今まで見えなかった輝く光が注ぎ込み、この光が次の道のりはより少し楽になるという希望と確かな自信を私達に与えてくれています。

2008年のクリントン敗北演説

 

演説終盤

Finally, I am so grateful for our country and for all it has given to me. I count my blessings every single day that I am an American. And I still believe as deeply as I ever have that if we stand together and work together with respect for our differences, strength in our convictions and love for this nation, our best days are still ahead of us.

訳:最後になりますが、私は母国アメリカとアメリカが私に与えてくれたものすべてに感謝します。日々私は、アメリカ人であることを大変感謝しています。そして、互いの違いを尊重し、強固な信念、愛国心を持って共に立ち上がり、協力し合えば、幸福な日々が私達の前に訪れることを私はこれまで同様に深く信じています。

クリントンは最後このような形で敗北演説を締めくくりました。

今回の敗北演説では、クリントンは今後の政界における進退について直接言及しませんでしたが、間接的にはそれを裏付けるような発言が多々ありました

 

クリントンの敗北演説から学んだこと

敗北演説は約10分強と比較的短い演説ではありましたが、クリントンが伝えかったことがすべて凝縮されていた内容だったと思います。

この彼女の敗北演説で私が非常に感銘したのが、彼女の支持者のみならず、演説を聞いていたすべての人の心に訴えかける出来だったことです。

特に私のような部外者でも、彼女の悔しさ、熱意、希望が心にひしひしと感じました

私は彼女のように自分の感情や思いを前面に押し出して、発言することが非常に苦手です。それは、このようにブログで文面に書いていても同様です。

私にとっては、主観的に物事を述べるよりも客観的に物事を観察し、客観的事実・データから述べる方が遥かに楽です。

しかしながら、彼女の敗北演説を聞いて、自分の感情や思いを前面に押し出して発言した方が、より多くの人を惹きつられるのかなと感じます。

「感情的な文章」=「人々の心に訴えかける」には限界があると思いますし、必ずしも意図した内容が相手に伝わるとは限りません。

それでも、クリントンの敗北演説から学んで、より感情豊かな文章を作成するよう努力していくべきだなと感じました。

 

参考サイト
Hillary Clinton’s concession speech – full transcript, The Gurdian(原文
Text of Clinton’s 2008 concession speech, The Gurdian(原文

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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