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アムステルダム市がAirbnbの規制を強化。その背景とは?

アムステルダム市がAirbnbの規制を厳格化。その背景とは?

個人が所有する家を民宿のようにして貸し出すサイトAirbnb(日本語:エアビーアンドビーまたは略称してエアビー)は、『空いてる部屋や家を貸したい人』と『借りたい人』とのマッチングサイトとして世界中で大人気のサービスとなっています。

 

その一方で、このAirbnbサービスが既存のホテル業界に対して経済的に大きな打撃を与えるだけでなく、行政のコントロールが効かない無秩序な状態での民泊サービスが行われていくこと、観光地における地元住民に対する住宅不足や家賃の値上がりを懸念する声もあり、各国・各都市で独自の規制を強化する方向性へと向かっていきました。

日本人観光客に大人気な観光地であるオランダの首都アムステルダムでも上述したような懸念から規制強化に乗り出し、2017年1月1日よりAirbnbを利用する個人オーナーが年間に貸し出せる日数が60日に制限される法が施行されました。

 

また、この新たな政策には他に2つの要件が加えられていました。

1. Airbnbを利用する個人オーナーはアムステルダム市議会にて登録する必要がある

2. 一度に貸し出せる人数は最大で4人までの制限とする

 

それから一年が経過した2018年1月に、アムステルダム市議会はAirbnbの規制により厳格な姿勢で望んでいくことが明らかとなりました。

今回の記事では、オランダの首都アムステルダムで強化されているAirbnbの規制の内容を解説するとともに、その背景には何があるのかを分析していきたいと思います。

 

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2019年から年間貸し出し可能日数が30日に半減される

アムステルダムの観光名所となっているモニュメント「Iamsterdam」前には常に多くの観光客が集まっている

アムステルダムの観光名所となっているモニュメント「Iamsterdam」前には常に多くの観光客が集まっている ※執筆者が撮影

アムステルダム市議会は2018年新年が明けてすぐの1月上旬に、Airbnbなどのプラットフォームを通じてアムステルダム市内の空き家や空き部屋を貸し出す年間可能日数を現行の60日から、半分の30日へと2019年より削減することを発表しましたこちら参照)。

 

ある市議会議員は、この決定に関して以下のようにインタビューで回答してます。

貸し出し日数をさらに削減することが、アムステルダム市の過密状態を解決することに繋がらないことは認識している。しかしながら、この決定によって、アムステルダム市内のいくつかの地区で観光客によって引き起こされている問題を減らすとともに、お金を稼ぐ方法の一つとして持ち家やアパートを新たに貸し出す地元住民も同様に減らすことができると考えている。

 

この新たな厳しい政策が発表された背景には、上記の市議会議員が述べた「観光客によって引き起こされている問題」「持ち家やアパートを新たに貸し出す地元住民を減らすメリット」だけでなく、Airbnbを通じて空き家や空き部屋を貸し出している個人オーナーたちによる違法な行動も原因となっているのではないかと考えています。

まずは、個人オーナーたちによる違法な行動を見てみましょう。

 

アムステルダム在住のAirbnbを利用している個人オーナーの違法行動

アムステルダム市内には狭い通りが多い

アムステルダム市内には狭い通りが多い ※執筆者が撮影

アムステルダム市の住人でAirbnbに登録している個人オーナーは約19,000人もいるとされています。

そして、オランダ紙Trouwの報道によれば、2017年末においてアムステルダム市内のアパートや家など約5,000軒が観光客に常時貸し出されており、1,000人以上の個人オーナーが「一度に貸し出せる最大人数が4人まで」という法を遵守していない可能性があると主張しました(こちら参照)。

オランダ紙Trouwが報じた内容は、私にとって非常にショッキングな内容でした。

なぜならば、2017年1月1日にAirbnb個人オーナーに対する厳しい法が施行されてから、アムステルダム市議会は法を遵守しないアムステルダム市内の住人に凄まじい額の罰金を請求する「見せしめ」が起きていたからです。

 

例えば、上記の法案が施行された翌月2月には、法案を遵守しない個人オーナーとそれに関わっていた代理店に対して、アムステルダム市議会は297,000€(日本円で約4,000万円)の罰金を請求する事例がありました 。

アムステルダム市議会が設定した罰金は一物件に対して13,500€(日本円で約180万円)であるため、この個人オーナーと代理店は11ヶ所の物件をAirbnbを通じて観光客に貸し出していたことになります。

このとてつもない罰金額は、いわゆる「見せしめ」であり、違法にAirbnbを通じて貸し出すアムステルダム市内の個人オーナーに対する警告でした。

 

こうした「見せしめ」があったにもかかわらず、前述のオランダ紙Trouwの報じたショッキングな内容が正しいのであれば、アムステルダム市議会はより厳しい法案を作成し、この現状に対処していかなければならなくなったことは明らかです。

その序章として、Airbnbを通じて貸し出すことができる年間日数を現行の60日から半分の30日へと2019年より削減する規制へと向かう理由の一つとなったのではないかと考えられます。

 

アムステルダム市内の地元住民とAribnb宿泊者とのトラブル

アムステルダム市内で観光客に貸し出されるAirbnb物件を巡っては、アムステルダム市内の地元住民とAirbnb宿泊者とのトラブルが大きな問題となっています

こうしたトラブルが多発する背景には、「アムステルダムの都市中心部に多いオランダの伝統的な縦長の家屋構造」と「アムステルダムを訪れる観光客の性質」の2点が関係しているのではないかと思います。

 

オランダの伝統的な縦長の家屋構造が引き起こす問題

オランダの伝統的な縦長の家屋構造

オランダの伝統的な縦長の家屋構造 ※執筆者が撮影

アムステルダムを訪れたことのある人なら見覚えがあると思いますが、アムステルダムの通りを埋める家々は横幅が狭く、縦に長い構造をしています。大抵の家であれば、3〜4階建てとなっており、最上階部分がロフトのような構造となっています。

アムステルダムの地元住民でこうした構造の家をまるごと持ち家として持っているわけではなく、階ごとまたは部屋ごとに持っていたり、レンタルとして借りているケースが多いです。

 

そのため、家々の階段や渡り廊下などが共用スペースとなっているために同じ家に居住する住民とシェアしていたり、隣の部屋や上下階に居住する住民の生活音などが聞こえたりします。

Airbnbで貸し出されている部屋などもこうした構造の家の一室であることが多いため、Airbnbを利用する観光客が夜中に酔っ払いながらパーティーを行うなど近隣住民のことを考えずに騒音を立ててしまったり各家々の暗黙のルール(共用スペースの使い方)などを知らないがために遵守せずに近隣住民の怒りを買ってしまうことがあります。

 

こうしたオランダの伝統的な縦長の家屋構造がAirbnb宿泊者と近隣住民とのトラブルを引き起こす原因となっているのではないかと考えられます。

 

次のページでは、アムステルダムを訪れる観光客の性質が引き起こす問題を見ていきます。

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。

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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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