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【Batushka】東方正教会の超マニアック解説を含んだライヴレポート

【Batushka】東方正教会の超マニアック解説を含んだライヴレポート

今や世界で大きな話題を呼んでいる東方正教会をテーマにしたブラックメタルバンド「Batushka(キリル文字:Батюшка)」、または日本語読みで「バトゥシュカ」。

 

日本国内のブラックメタルシーンでも、ブラックメタル大好きでポーランドに移住した「Metal Mania Sayuki」さんの宣伝効果と、彼女がBatushkaの処女作にして、現代ブラックメタルシーンの名盤と評される「Litourgiya」をポーランドから日本へ輸出販売を行っていることもあり、多くのメタラーがこのアルバムを耳にしていると思います。

Batushkaのアルバム「Litourgiya」をまだ聴いたことがない人は、以下のリンクから視聴することができます

Sayukiさんの影響を受けてBatushkaの「Litourgiya」を購入し、彼らの世界観に大きく感動したのは、私だけではないのではないでしょうか?。

 

 

Batushkaのヨーロッパツアー

Batushkaのヨーロッパツアー

このポーランド出身のBatushkaが新年を迎えて間もない2018年1月にヨーロッパツアーを行うことが発表されて、ヨーロッパツアーの初日1月10日にオランダ南部にあるティルブルフにて、ライブを行うことになっていました。

私は現在オランダ南部のハーグに居住していることから、このヨーロッパツアー初日のライブに何としてでも行って、彼らBatushkaの世界観を生で味わってみたいと思い、大きな期待とともにライヴに行ってきました!

率直な感想としては、名盤「Litourgiya」を完全再現するライヴには様々なパフォーマンスが用意されて、東方正教会らしさとブラックメタルらしさが増長される素晴らしい公演でした!

 

今回の記事では、まだ日本で公演を行ったことがないためにBatushkaのライヴがどのような雰囲気なのかを味わったことのない人向けに、彼らBatushkaがステージ上で表現する独特の世界観をレポートとして書き留めてたいと思います。

【注意事項】
東方正教会圏であるセルビアで生活していた体験から、東方正教会の文化や習慣などの専門的知識も交えたマニアックなライヴレポートとなっています。宗教学的な部分にも触れているため、途中で飽きるかもしれませんが、最後まで読んでもらえると大変うれしく思います。

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Batushkaのライヴは、まるで東方正教会の儀式

Batushkaのライヴ公演ステージに準備された儀式用の様々な道具

Batushkaのライヴ公演ステージに準備された儀式用の様々な道具 ※執筆者が撮影

前座のバンドが終わってから、スタッフがせっせとステージ上の両端に円形状の台座が3段に重なるロウソク用スタンドを設置して、黄色のロウソクを立てていきます。

また、ステージ中央前方のマイクスタンドの前に、聖母マリアと子イエス・キリストが頬を寄せ合う様子が描写されたイコン画「ウラジーミルの生神女」(アルバムのアートワークと同じ)が、正教徒が膝をついて神に祈る壇上に置かれています。

そして、ステージ後方の弾幕には、キリル文字でバンド名Batushkaと書かれているのと同時に、聖母マリアらしき人物の描写の両横には、東方正教会の儀式で司祭から話される祈りらしき言葉が同様にキリル文字で書かれています。

 

ステージ左側には、儀式で使用される「振り香炉」用のスタンド上にドクロが置かれている

ステージ左側には、儀式で使用される「振り香炉」用のスタンド上にドクロが置かれている ※執筆者が撮影

またステージ左側には、後述する「振り香炉」の儀式で使用される容器が設置されているスタンド上にドクロが設置されています。このドクロがブラックメタルらしさを醸し出しています。

細く長いロウソクに火を灯していく

ライヴのイントロとなるギターの音色とともに、両端のロウソクに火を灯し始める黒装束の一人

ライヴのイントロとなるギターの音色とともに、両端のロウソクに火を灯し始める黒装束の一人 ※執筆者が撮影

観客の大きな歓声とともに、体全体を黒装束に覆いながら顔にはマスクのようなものを付けている怪しげなメンバーたちが続々と登場します。そして、写真右手のギタリストが公演開始を意味するかのようなギターの音色を奏でる中、一人のメンバーが両端に用意されたロウソクに火を灯していきます。

通常の東方正教会の文化では、底に砂のようなものが入った円形状の容器に、自身でキスをした黄色のロウソクに火を灯して、祈りながら立てることになっています。

Batushkaの場合では、円形状に重なる3段のスタンドに立てられた黄色のロウソクに一本一本火を灯していきました。このような3段のスタンドは見かけたことはありませんが、東方正教会の伝統のように細く長い黄色のロウソクを使用しています。

 

ステージ上の左側に設置されたロウソク点火は失敗に終わる

ステージ上の左側に設置されたロウソク点火は失敗に終わる ※執筆者が撮影

一方のロウソクをすべて点火したあと、反対側のロウソクを点火しようとしたものの、演出のスモッグと風により点火しても消えてしまうというアクシデントに見舞われました。

このアクシデントは観客の笑いを引き起こし、火を灯す役割のメンバーは途中で諦める事態に。そのため、側のロウソクは常に点火されないままライヴは進んでいきます。

 

煙を浴びせる「振り香炉」のパフォーマンス

煙が出る振り香炉を観客に向けて浴びせるボーカル

煙が出る振り香炉を観客に向けて浴びせるボーカル ※執筆者が撮影

最後にステージ上に登場してきたボーカルらしき人物は、ステージ上に用意されていた神具の一つである「振り香炉」と呼ばれる容器に入ったお香に火を灯して、縦に揺らしながら観客席に向かって煙を浴びせるパフォーマンスを行います。

どうやらカトリックなどの西方教会では、教会的な儀式でこの「振り香炉」を使用する機会が減少しているようですが、東方正教会圏では頻繁に見かけます

 

Batushkaのライヴが本格的に始まると、神父の役割を担うボーカルが両腕を広げながら観客に訴えかける

Batushkaのライヴが本格的に始まると、神父の役割を担うボーカルが両腕を広げながら観客に訴えかける ※執筆者が撮影

私もセルビア人の妻の身内の不幸で、セルビア正教会のしきたりに沿った葬式に参列した際に、司祭が葬式に参列していた者ひとりひとりにこの「振り香炉」から出るお香の煙を浴びせる行為をしていたことをよく覚えています。

信徒である参列者は、お香の煙を浴びると十字を切って神に祈りを捧げていました。葬式に参列していた私も、この煙を目の前で複数回浴びています。

この葬式で感じたお香の香りには独特なものがありましたが、Batushkaのお香の香りは特になく、香炉の容器に入っているものがお香なのかどうかは分かりませんでした。

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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