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【ロシアW杯】セルビア代表VSスイス代表戦は要注意カード?

【ロシアW杯】セルビア代表VSスイス代表戦は要注意カード?

私が絶賛応援しているセルビア代表は2大会ぶりにW杯本戦に出場を果たし、初戦の相手コスタリカ代表戦をなんとか1-0で勝利することができました!

そして、次戦の相手は同じヨーロッパの一国であるスイス代表との試合になります。

スイス代表は初戦の相手であるブラジル代表との試合に1-1の引き分けとなったため、セルビア代表は次戦スイス代表戦に勝利すると、グループリーグ2位以上が確定、つまりグループリーグ突破で決勝トーナメントに進出することが決まる大事な一戦になります。

※以下の記事では、セルビア代表の魅力を熱く解説しています!

 

この大事なスイス代表との一戦は、要注意カードと言われています。

なぜらならば、スイス代表メンバーをよく見てみると、選手間そしてサポーター間で問題が起きそうな試合になるのではないかと危惧されているからです。

その背景には、スイス代表にはセルビアと政治・民族問題を抱えるコソヴォ共和国出身またはアルバニア系の民族的ルーツを持つ選手が多数いるからです。

 

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スイス代表メンバーの出身地や民族的ルーツ

スイスは私が現在暮らしているオランダのように移民が多い国家であり、スイス代表メンバーを見てみるとドイツ系やイタリア系、アフリカ系など国際色豊かなチームとなっています。

そして、特筆すべきことに今回のロシアW杯2018にスイス代表メンバーとして選出された23名のうち、7選手が1991年まで存続した旧ユーゴスラヴィア生まれか、同地域と関連する民族的ルーツを持った選手になります。

つまり、旧ユーゴ出身者が代表チームに占める割合は約30%になります。

 

その7選手は、グラニト・ジャカ(アルバニア系)、バロン・ベーラミ(アルバニア系)、ブレリム・ジェマイリ(アルバニア系)、ジェルダン・シャチリ(アルバニア系)、ハリス・セフェロビッチ(ボスニア系)、マリオ・ガブラノビッチ(クロアチア系)、ヨシップ・ドルミッチ(クロアチア系)です。

これら選手を見てみると中盤でプレイするジャカやベーラミ、ジェマイリ、シャチリはアルバニア系で、かつスイス代表で中心メンバーとなっているほど重要な選手たちです。

 

これら4選手のうち、マケドニア共和国出身のブレリム・ジェマイリを除いた3名の選手は、2008年にセルビアの自治州から独立を宣言したヨーロッパで最も若いコソヴォ共和国出身の選手になります。

コソヴォ共和国は2018年ロシアW杯ヨーロッパ大陸予選から初めて国際大会に出場し、最終的には計10試合で勝ち点1(1引き分け9敗)という結果に終わったため、W杯本戦には進出することができませんでした。

 

しかしながら、本戦に出場を果たすことができたスイス代表には3名のコソヴォ出身者と同じアルバニア系の民族的ルーツを持つ1選手がプレイしているため、コソヴォ国民や公的人物もスイス代表を応援するコメントが見受けられました。

 

 

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前述したスイス代表メンバーの中心で、コソヴォ出身のジェルダン・シャチリ選手は、踵部分にそれぞれスイス国旗とコソヴォ国旗を刺繍した特別スパイクをW杯期間中に使用するとInstagramで発表しています。

 

セルビアとコソヴォ間の政治的・民族的な問題

コソヴォ共和国の国旗

2008年までコソヴォ共和国はセルビアの領土であったものの、コソヴォ議会がセルビア政府や国会に承認を得ずに勝手に独立を宣言したために、ヨーロッパで最も若い「独立国家」となりました。

しかしながら、コソヴォ独立に反対するセルビア共和国は独立から10年以降が経った今でもコソヴォ独立を承認していません。また、セルビアだけでなく、国家内に民族問題や領土問題を抱えるロシアやスペイン、中国、ギリシャといった国々もまたコソヴォ独立を承認していません。

 

セルビア民族にとってコソヴォ地域は民族の起源として重要な地域となっており、それが原因で政治・民族問題が長年続いています。

現在のコソヴォ地域では12~13世紀にかけて中世セルビア王国が存続していましたが、14世紀後半からオスマン・トルコ帝国の支配下となりました。その後、18世紀前後にオスマン帝国がコソヴォにアルバニア人を入植させていき、コソヴォ居住民の大多数はアルバニア人となっていきました。この影響で、20世紀に入ってからコソヴォが再びセルビアの領土になってもなお、コソヴォ居住民に占めるアルバニア人が大多数である状況に変化はありませんでした。

出典:セルビア人居住区側から見る「コソヴォ」《前編》/Kotaro Journal

 

どこの国々でも似たような状況かと思いますが、サッカーの国際大会というのものはナショナリズムや愛国心が燃え上がる大会です。愛国心が薄いと言われる日本でも、W杯のときや日韓戦のときには一種の愛国心が生まれる時かと思います。

例外なくセルビアでも、サッカーの国際大会にはナショナリズムや愛国心が燃え上がる時であるだけでなく、別の問題としてサポーターがスポーツを政治問題と絡めることがあります。後者の点は、セルビアだけでなくバルカン地域で広く発生する現象です。

一般的にフーリガンやウルトラと呼ばれる類のセルビア人サポーターは、サッカーの試合で民族主義的で政治問題と絡めたメッセージを発信することが頻繁に起きています。

 

セルビア代表と国際試合での出来事

これまでにセルビア代表がサッカーの国際試合で問題となった出来事として、旧ユーゴスラヴィア紛争で敵対していたクロアチアとの試合や民族問題を抱えるアルバニアとの一戦が挙げられます。

上記の動画は、ブラジルW杯2014ヨーロッパ予選で、民族問題から決して国際試合が行われることを避けられていたセルビア代表(H)対クロアチア代表(A)の一戦で、試合前にクロアチア国歌斉唱が行われた時のものになります。

スタジアム全体から凄まじいブーイングの嵐が起こり、クロアチア国歌がまったく聞こえない状況です(※)。

※クロアチア代表がホームの試合時には、クロアチア人サポーターによるセルビア国歌斉唱に対するブーイングが起きて、同じような光景が見受けられました。どちらのホーム試合では安全上の理由で、アウェイサポーターはスタジアム内に入ることが禁止されていた厳戒態勢が敷かれていました。

 

また、ユーロ2016予選で同グループとなったアルバニア代表との一戦では、セルビアホームの試合中にスタジアムに一台のドローンが侵入し、「セルビア南部の領土はアルバニア人の領土(通称、大アルバニア主義)」だと訴える民族主義的なメッセージが含まれた横断幕が掲げられる事件が起こりました。

この事件では、セルビア人選手がドローンを捕まえることに成功し、回収しようとしたものの、アルバニア人選手がドローンを奪って逃亡しようとしました。その行為に怒ったセルビア人サポーターたちがピッチ内へと侵入し、アルバニア人選手たちとの殴り合いの喧嘩へと発展してしまう大事件となりました。

 

こうした出来事が起きたり、アルバニア人との因縁があることから、コソヴォ出身のアルバニア系スイス人選手3名がプレイするスイス代表に対して、仮想コソヴォ代表と捉えるセルビア人も多く、試合中に何かしらの問題が起きるのではにないかと危惧されています。

 

セルビア代表VSスイス代表の試合で起こりうること

セルビア代表VSスイス代表の試合で起こりうることは2つあります。

まず一つ目は、熱狂的なサポーターの声やスタジアムを包む雰囲気からヒートアップしたセルビア代表選手やアルバニア系スイス代表選手が互いに挑発行為を行ったり、危険プレーに走って、選手間での衝突が起きること。

例えば、セルビア代表VSクロアチア代表の試合ではアフタータックルになると分かっていながらも、クロアチア選手がセルビア人選手に向かって危険なタックルをして一発レッドカードをもらうシーンがありました。この危険行為に両国の選手数名がヒートアップしてしまう光景がありました。

 

二つ目はセルビア人サポーターがスタジアム内で「コソヴォはセルビアの領土」などという民族主義的なチャントを行ったり、民族主義的なメッセージが込められた横断幕を掲げる可能性があることです。

すでにロシアW杯のスタジアム内で「コソヴォはセルビアの領土」とセルビア語で書かれた横断幕を掲げる者がいたようです。

 

それと同時に、歴史的・民族的な繋がりからセルビア代表を応援するロシア人も多く、セルビア人サポーターと一緒に民族主義的なチャントを行う可能性も大いにあります。

すでにセルビア代表の試合が行われるサマーリ市では、ロシア人と見られる集団が「ロシア人とセルビア人は永遠に兄弟だ」「コソヴォはセルビアの領土」と大きな声を出してチャントしている動画が話題となっています。

 

まとめ

これら以外にも、セルビア人サポーター(正しくはフーリガンと呼ぶべきか)が国際試合で問題を起こして、FIFAやUEFAから懲罰を受けることが度々起きているので、次に行われるセルビア代表VSスイス代表は要注意カードとして観戦してもらえればと思います。

もちろん、何の問題も起きずにセルビア代表がスイス代表に勝利して、グループリーグ突破をほぼ確実にすることが一番です!

 

【追記】

多くの人が試合前から予想そして警戒していた通りの出来事と問題が起きた試合となりました。

試合で起きた出来事やそれに対するFIFAの対応を以下の記事でまとめていますので、ご参照ください。

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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