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サンタクロースの元祖?シンタクラースがオランダにやって来た!

シンタクラース

2016年11月12日(土)に、サンタクロースの元祖と言われるシンタクラースがオランダにやって来ました!

私たちが居住するオランダ南部ハーグにもシンタクラース一同を乗せた蒸気船がスフェニンゲンの港にやって来るという情報を事前に知っていた私たち夫婦。

当日には、現地のオランダ人と一緒に港でシンタクラースを出迎えました!

とは言っても、オランダ在住者でなければ、シンタクラース?サンタクロースの元祖?と疑問に思う方がほとんどだと思います。

私もオランダに移住するまで、このシンタクラースの存在、そしてオランダ版クリスマスと言われている「シンタクラース祭」のことを一度も聞いたことがありませんでした。

今回の記事では、シンタクラースの歴史的・文化的概要を皆さんに分かりやすくご紹介したいと思います。

 

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シンタクラースとは何者?

シンタクラース Sinterklaasは、過去の逸話*から子供の守護聖人・海運の守護聖人として崇敬されている聖人ニコラス(またはニコラウス)〔270-343年〕が基となった伝説的・歴史的な起源を持つ神秘的な人物とされています(下記画像を参照)。

聖ニコラスのイコン画

Russian icon depicting St Nicholas source: Wikipedia

 

※過去の逸話:「ある時ニコラウスは、貧しさのあまり三人の娘を身売りしなければならなくなる家族の存在を知った。ニコラウスは真夜中にその家を訪れ、窓から金貨を投げ入れた。このとき暖炉には靴下が下げられていており、金貨はその靴下の中に入ったという。この金貨のおかげで家族は娘の身売りを避けられた」(Wikipediaより引用)(下記画像を参照)

聖ニコラスの逸話に関する絵画

The dowry for the three virgins source: Wikipedia

 

このシンタクラースは、名前からだけでなく外見からもサンタクロースを連想する方も多いのではないかと思います。

実際に、多くの西方キリスト教圏地域でクリスマスには欠かせないキャラクターとして定着しているサンタクロースは、実はこのシンタクラースが基となっているという説*があります。

18世紀にアメリカ大陸に植民したオランダ人が自国文化の「シンタクラース」を現地で伝承し、それが現在の「サンタクロース」の語源になったと言われている説

 

では両者の外見的特徴をそれぞれ見てみましょう!

シンタクラースの外見的特徴は、白の長い髪と長くフサフサした白鬚を生やし、頭には荘厳な冠(司教冠)を被り、司祭が着用するような白い衣服(アルバ)の上に真っ赤なローブを羽織った威厳のある風貌をしています。

また、おとぎ話の魔法使いが持ち歩くような先端が曲がったゼンマイのような長い杖(司教杖)を片手に持ち、白馬に乗って伝統的に移動します。

 

反対に、世界的に共通したイメージが広がっているサンタクロースは、長くフサフサした白鬚を生やし、頭にはお馴染みの赤帽子を被り、真っ赤で暖かそうな衣服を着用し、ちょっと太り気味の親しみやすそうな風貌をしています。

また、子供達へのプレゼントを入れた白い大きな袋を肩に背負い、トナカイを先頭に立てたソリで移動します。

 

このように外見の特徴を詳細に見てみると、何点かの類似点は見られるものの、全く異なるキャラクターのように見えるのではないでしょうか?

そして、シンタクラースは宗教的側面のある持ち物を多く身に着けていることから、キャラクターの基となっている聖人ニコラスとの関連性を強調するとともに、彼に対する尊敬の念が感じられます。

 

シンタクラースの仲間?ズワルト・ピート達の存在

ハーグ市内のブラック・ピート

ハーグ市内で出逢ったブラック・ピート ※執筆者が撮影(2016年時)

サンタクロースの場合は、子供達にプレゼントを配るときの仲間は存在しません。しかしながら、シンタクラースの場合は「愉快な」仲間達がいます。彼らはオランダ語でズワルト・ピート Zwarte Piet(黒いピート)と呼ばれています(上画像を参照)。

 

彼らは、シンタクラースに代わって、子供達にお菓子やプレゼントを渡し、子供達を喜ばせる役目を務めています。

 

彼らの基本的な外見的特徴は、真っ黒な化粧を顔一面にし、クセのあるカーリーヘアに、紅色の口紅をし、大きな金色のイヤリングと色彩豊かなルネサンス期の服装を身に着けています。

私は今回初めて彼らを間近で見たのですが、強烈な印象を受けました!今までに見たことのないキャラクターであり、外見も非常にインパンクトがあるからです。

また、子供達はズワルト・ピートを見ると大はしゃぎしていたので、オランダの子供達には非常に人気のあるキャラクターなんだなと感じました。

なぜ彼らは真っ黒な顔をしているのかと疑問に思う方もいると思いますが、定まった歴史的背景はないようです。歴史的背景として言われているいくつかの説は、以下の通りになります。

  1. 彼らはスペイン出身のムーア人(北西アフリカのイスラム教教徒)だから
  2. 彼らはもともと黒人奴隷の身分であったから(聖人ニコラスにより解放された後、聖人ニコラスの人生の仲間となった)
  3. 彼らはスペイン人、またはイタリア人の煙突掃除人であり、度重なる煙突掃除により積み重なったすすが体中から落ちなくなったため

 

オランダでは近年になり、このズワルト・ピートの容姿は人種差別に当たると非難する人が増えてきてるようです

この人種差別に反対するデモ集会が毎年シンタクラース到来の時期に行われ、今年はロッテルダムにて約200人の逮捕者が出るなどの問題も起きたとか。(詳細はこちら

※【追記(2016年11月20日)】ズワルト・ピートに関する記事を書きました!


 

シンタクラース祭はどんな感じ?

シンタクラース祭は、全部で3つの構成で成り立っています。

 

シンタクラース到着祭 intocht van Sinterklaas

シンタクラース祭は毎年伝統的に、シンタクラースがスペインから蒸気船に乗ってオランダに到来する11月中旬(11月11日を過ぎた後の最初の土曜日)に始まります。

港が無い町などは蒸気船に乗って来ることはできないので、列車や馬車、または消防車(笑)で町にやって来るそうです。

スペインからやって来たシンタクラース一行を乗せた蒸気船

スペインからやって来たシンタクラース一行を乗せた蒸気船(ハーグの港にて) ※執筆者が撮影(2016年時)

 

私が得た情報では10時30分に到着するとのことでしたが、最終的には11時頃に到着していました。浜辺のため海風が非常に冷たく、体感温度は0度を下回っていたように感じます。

寒い中シンタクラース到着を待ちわびるオランダ人

寒い中シンタクラース到着を今か今かと待ちわびるオランダ人 ※執筆者が撮影(2016年時)

 

シンタクラースを乗せた蒸気船は港に停泊した後は上陸し、シンタクラースは多くのズワルト・ピート達とともに子供達に出迎えられながら街中をパレードします。

シンタクラースのパレードを待ち構えるオランダ人(ハーグ中心地にて)

シンタクラースのパレードを待ち構えるオランダ人(ハーグ中心地にて) ※執筆者が撮影(2016年時)

 

当日寒くて寒くて仕方がなかった私は、シンタクラース一行がパレードで来る前に帰宅したため、あいにく写真を撮れなかったのですが、以下の動画を見て頂ければ当日の雰囲気が分かります。

 

オランダ上陸から聖ニコラスの日(12月6日)まで

オランダに上陸してから、オランダ版クリスマスである「聖ニコラスの日」(12日)までの約ヶ月弱の間、シンタクラースは何をしているのでしょうか?

実は、その間シンタクラースは学校や病院、ショッピングセンター等を訪れて子供達を喜ばせているそうです。

病院を訪れるシンタクラース

病院を訪れるシンタクラース 出典:St. Nicholas Center

 

またこの間に、子供達のもとにプレゼントを配っています。夜中に白馬に乗ったシンタクラースは屋根に駆け登り、煙突から1年間良い子にしていた子供達のもとにプレゼントを届けているとされています。こうした話は、世界的に一般化されているサンタクロースが子供達にプレゼントを届ける話と非常に似ています。

プレゼントを配るシンタクラース

プレゼントを配るシンタクラース 出典:BesteKrabbels

 

シンタクラースからのプレゼントを待ちわびる子供達は、寝る前に煙突に繋がる暖炉(近年では暖炉のない家庭も増えているため、セントラル・ヒーティングのラジエーター)のそばに、シンタクラースが乗る白馬のためにニンジンや干し草を入れた靴と水が入ったお椀を用意するそうです。

シンタクラースからのプレゼントを貰うために準備する子供達

シンタクラースからのプレゼントを貰うために準備する子供達  出典:ALPHA 777

 

この習慣を聞くと、オランダのシンタクラース文化には中世の伝統が現在もなお色濃く残っている印象を受けます。 

セントラル・ヒーティング:電気、ガスのボイラーで作られた温水を各部屋に分配しラジエータを用いて空気への熱変換、また放射熱への変換を行い暖房するシステム。特に欧州地域では普及している(Wikipediaより引用)。

 

聖ニコラス・イブと聖ニコラスの日(12日)

最後にシンタクラース祭を待ち構えているのは、聖人ニコラスの命日に当たる12日の「聖ニコラスの日」です。

この聖ニコラスの日の前日日(聖ニコラス・イブ)は、Sinterklaasavond またはPakjesavond (「プレゼントの夜 Packages evening」)と呼ばれることからも分かる通り、オランダではプレゼントを渡すための重要な冬の一日になっています。

このイブの日の夜に、プレゼントは子供達に色々な方法で届けられます。

シンタクラースからのプレゼントに喜ぶ子供達

シンタクラースからのプレゼントに喜ぶ子供達 出典:Brabants Dagblad

 

方法は家族によってバラバラだそうですが、例えばズワルト・ピート達によって隠されたプレゼントが家のどこにあるのか記載された置き手紙で子供達に伝えたり、近所の誰かがズワルト・ピートのふりをして、玄関扉の前にプレゼントの入った袋を置き、扉をノックした後に立ち去り、子供達にプレゼントを受け取らせたり・・・

 

翌日の12月6日、聖ニコラスの日を迎えるシンタクラースは、何も言わずにオランダから出航しスペインへと戻るそうです。

※シンタクラースがスペインから往来する理由:シンタクラースの基となっている聖ニコラスの聖遺物(遺骸や遺品)の半分がイタリア南東部にあるバーリに安置されている。このバーリは中世から18世紀にかけてスペインの支配化とされ、その歴史的背景からシンタクラースは毎年スペインから往来しているとされている。

シンタクラース祭は、オランダ本土だけでなく王国構成諸国であるキュラソー島やアルバ島、かつて旧植民地であったスリナム共和国、そしてベルギー王国やフランス北部の地域等でも祝われているそうですが、地域(オランダ国内も含む)によって慣習は多少異なるそうです。

 

 

これまで長文に渡って、シンタクラースの歴史的・文化的概要をお話してきましたが、興味が湧きましたか?

このようにして、詳細にシンタクラースの歴史的背景や慣習を調べてみると、シンタクラースはサンタクロースの元祖と言われるものの、サンタクロースとの類似点よりも相違点が際立って見えます

このシンタクラース祭は700年前から続く伝統行事と言われています。そのため、オランダ独特の伝統文化として、オランダ国民の生活の一部として、子供達にとって神秘的な対象として、オランダ文化的に重要なイベントであると感じました。

オランダ在住の日本人の方だけでなく、この季節にオランダ観光を予定している方もオランダ独特のシンタクラース祭の文化を事前に知って、このシンタクラース文化に触れてみてはいかがですか?

 

参考サイト
Sinterklaas, Wikipedia.
Saint Nicholas, Wikipedia.
Sinterklaas v Santa Claus: What’s the difference?, iamsterdam.

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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