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ユーゴスラヴィア社会主義時代に活躍したセルビア人デザイナーの作品に目が釘付け

ユーゴスラヴィア社会主義時代に活躍したセルビア人デザイナーの作品に目が釘付け

2018年10月ごろにベオグラードに一時滞在していた時、友人が興味をそそるツイートをしていたのが目にとまりました。

 

このツイートは、「ベオグラードにある応用美術博物館(Museum of Applied Art)にてユーゴスラヴィア時代に最も優れたデザイナーであり、ビジュアル・アーティストでもあるスロボダン・マシッチの作品展示会が行われている。翌日に展示会が終了するから、デザインギークは急げ!」という内容でした。

私は芸術作品やデザインに強い興味を持っている人間ではなく、ましてスロボダン・マシッチという芸術家の名前を一度も聞いたことがなかった。

けれども、友人のツイートに載っている写真を見てみると、「こんな前進的なデザイン作品が社会主義時代のユーゴスラヴィアにあったの!?」と驚かざるを得ませんでした。

 

そして、その翌日に彼の展示会を実際訪れてみました。

会場に展示されているスロボダン・マシッチの作品は、私だけでなく多くの人がイメージとして持っている「社会主義国」「ユーゴスラヴィア」とは大きく異なるもの、当時の社会文化からは想像できないエキゾチックなデザインに心惹かれました。

今回の記事では、ベオグラード応用美術博物館で開かれていたスロボダン・マシッチ展示会の作品を写真を通じて見ながら、いかに当時のユーゴスラヴィア社会主義国の芸術文化が前進的で、いかにカッコいいデザインが社会で使われていたのかを知る一つの機会になればいいなと思います。

 

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スロボダン・マシッチとは?

スロボダン・マシッチの展示会

スロボダン・マシッチの展示会

この芸術家スロボダン・マシッチという名前を一度も聞いたことがないと前述しましたが、私だけでなくセルビア人の妻や義理の両親も彼の名前を一度も聞いたことがないとのことでした。

 

博物館のホームページには、スロボダン・マシッチの生涯と彼の芸術的特徴が以下のように説明されています。

Slobodan Mašić (1939–2016, Belgrade) was one of the most important artists who, over the last half a century shaped visual communications in Serbia and Yugoslavia. He met his future spouse and the most important collaborators Saveta Puhalo during his student days at Faculty of Architecture (1958–1964). Upon graduation, he applied the knowledge acquired at the Faculty to the design of visual communications. At the time, he created posters and catalogues for Dom omladine (Youth Center) and Graphic Collective (Grafički kolektiv), launched the Independent Edition (Nezavisna izdanja) book label, founded Studio Struktura, worked on book design, as well as on the design of magazines Susret (Encounter)NB’68 and ROK (ROCK), on title credits for cult Yugoslav movies and started collaboration with Theater Atelje 212, i.e. BITEF, as well as with the FEST film festival. In time, Mašić’s design for BITEF became one of the most important opuses in the field of visual communications in Serbia and Yugoslavia of the times.

Already at the end of the 1960s, Mašić defined his poetics, in the first place by creating of famous ideograms, such as star inscribed into circle (the logo of Studio Struktura) or ideogram comprised of counter directed vertical arrows (the logo of Independent Editions). His ability to manipulate graphic design enabled him to analyze contents of communication, reducing them to their symbolic essences. Without excess pictoriality, he constructs surfaces, which become transmitters of the meaning of the content of a poster, a book or other means of visual communication. He used the simple spatial composition, found in the poster for Dom omladine, later on, in order to represent the rhythm of recurring signs. This rhythm allows him to create new world image in which his signs create special graphic language, which escapes the figural to reach the symbolic and the iconic.

In the text „In Search for His Expression“, in the catalogue of the exhibition MAŠIĆ, Miroslav A. Mušić states that „he was superior in expressing his attitudes. He went from the notion that each graphic sign, line and white area has their place, symbolism, and rationale. With his ability to extract, he entered a dialogue with the world. Those were critical reflections done with graphic language with the tendency to express an opinion about certain values, misapprehensions or utopias.“

※太文字は執筆者(私)が強調したい箇所

出展:Museum of Applied Art, Belgrade

 

では、スロボダン・マシッチという芸術家、現代的な言葉で表現するならばグラフィック・デザイナーがユーゴスラヴィア社会主義時代に残した作品を以下で見てみましょう!

 

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1973/74年シアターのプログラムカレンダー

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1980年に開かれた展覧会ポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1975年6/7月のコンサート予定表ポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1971年に開かれれた展示会ポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1966年に開かれたギャラリーポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 雑誌の表紙を飾ったときのデザイン

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1976年に開かれた国際映画祭ポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1975年に開かれた児童向け国際映画祭ポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1975年に開かれた国際映画祭ポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1971年に開かれたユーゴスラヴィア映画祭ポスター(手前側)

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1985年に開かれたベオグラード国際シアターフェステイバルのポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1986年に開かれたベオグラード国際シアターフェステイバルのポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会 1971年に開かれたベオグラード国際シアターフェステイバルのポスター

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

 

終わりに

スロボダン・マシッチ展示会

スロボダン・マシッチ展示会

いかがでしたでしょうか?

上記で紹介した作品を見てみると、本当に社会主義国で使われていたデザインとは思えないようなものばかりのような気がしませんか?

 

展示会では同じフロアにいたセルビア人中年夫婦と少しばかり話す機会があり、スロボダン・マシッチがデザインした1966年の作品を指さしながら、以下のように話してくれました。

「この作品が作られた1966年は私の妻が生まれた年で、こんなカッコいいデザインが当時のユーゴスラヴィアで生まれていたんだ。それほどユーゴスラヴィアは進んでいた国だったんだよ」

 

この言葉から、かつてのユーゴスラヴィアは社会主義国ながらどれほどカッコいい国だったのかが伝わってきました。

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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