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オランダを訪れる日本人観光客の動態とオランダ観光の魅力を巡る状況

オランダを訪れる日本人観光客の動態とオランダ観光の魅力を巡る状況

オランダの観光事業を促進する組織「The Netherlands Board of Tourism & Conventions (以下、NBTC)」が、オランダを訪れる日本人観光客の動態とオランダ観光の魅力を巡る状況が分かる資料を発表しました。

この資料を通じて、年間にどれくらいの日本人観光客がオランダを訪れているのか、何を目的にオランダへ観光で訪れているのか、どれくらいのお金をオランダ観光で費やしているのかなど具体的な動態や観光状況が分かります。

 

オランダで生活していると、オランダは日本人観光客に人気な国ではないのかと思う反面、実際にどれくらいの日本人観光客が訪れているのか詳細な数を知る術がありませんでした。また、オランダで個人ガイドツアーを仕事としてなされている方も数多くいると思いますので、今回の資料を使えば個人ガイドツアーの戦略に活用できるのではないかと思います。

 

私個人もハーグ市内でニッチな観光名所を案内するガイドツアーも企画していることから、こうした資料は非常に参考になりました。

 

今回の記事では、NBTCが発表した資料をもとにして、オランダを訪れる日本人観光客の動態と観光状況を明らかにしようと思います。

 

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日本人が訪れたい観光地としてのオランダの立ち位置

日本人が訪れたい観光地としてのオランダの立ち位置

日本人が最も訪れたい海外の観光地トップ10(2017年度) 出典:MARKETSCAN JAPAN 2017, NBTC, 2017

観光事業シンクタンクJTB総合研究所の資料から作成されたこちらの資料「日本人が最も訪れたい海外の観光地トップ10」によれば、多くの人が想定できるであろうハワイが圧倒的な数字で1位となっているものの、それ以外の国々を見てみると上位10ヶ国にはフランスやイタリア、イギリスなど計6ヶ国(スカンディナヴィア諸国は1ヶ国と計算)が入っています。

これらヨーロッパ6ヶ国の数値を合計すると約25%となり、日本から遠いヨーロッパ諸国に海外旅行で訪れたいと思っている日本人は多いということが分かります。その一方で、日本人に観光地として人気がありそうなオランダは上位10ヶ国に入っていません。

 

日本人海外旅行者の目的地別シェア数(2016年度)

日本人海外渡航者の目的地別シェア数(2016年度)出典:MARKETSCAN JAPAN 2017, NBTC, 2017

前述の調査「日本人が最も訪れたい海外の観光地トップ10」を念頭におきながら、上記の資料「日本人海外渡航者の目的地別シェア数(2016年度)」を見てみましょう。

前述の調査では、多くの人がハワイやヨーロッパ諸国、オーストラリア、カナダを訪れたい海外の観光地に挙げている一方で、実際に日本人渡航者の目的地のうち過半数以上がアジア諸国となっています。この数値には海外旅行だけでなく、ビジネス関係での渡航も含まれていることもありますが、ヨーロッパ諸国に渡航する日本人が全体の15%(約260万人)しか占めていないことになります。

 

またNBTCによれば、海外旅行を経験したことのある日本人のうち、42%の日本人がハワイを訪れたことがあります。ハワイは日本人に人気な観光地として昔から言われているものの、約半数の日本人海外旅行経験者がハワイを訪れていることは驚異的な数字です。

ヨーロッパ諸国を見てみると、フランス(19%)、イタリア(16%)、イギリス(12%)、ドイツ(11%)、スイス(8%)となっています。オランダは全体で26番目に位置し、たったの4%にすぎません。

 

世界全体で196ヶ国がある中でオランダが26番目に位置していることは決して悪い結果ではありません。しかしながら、オランダは日本人に観光地として有名である国だという印象を抱いている人間からすると、意外に低いと思ってしまわずにはいれません。

 

オランダを訪問する日本人観光客は非常に少ない

オランダに入国する日本人渡航者数の推移(2010〜2016年)

オランダに入国する日本人渡航者数の推移(2010〜2016年) 出典:MARKETSCAN JAPAN 2017, NBTC, 2017

オランダ統計局(CBS)が公開する資料から作成された上記の資料「オランダに入国する日本人渡航者数の推移(2010〜2016年)」によれば、2016年にオランダに入国した日本人渡航者数(観光・ビジネス目的の両者含む)は約11万人弱となっています。

 

この数値は、近年のテロ事件の脅威が高まっていたことが部分的に影響して、前年度よりも21%の日本人渡航者が減少したとのことであり、2017年度もその影響を依然として受けて2016年度の数値と同等の約11万人弱程度になるとの見通しとなっています。

JTB総合研究所が発表する2017年度の日本人出国者数が約1,780万人となっていることから、全日本人海外渡航者数のうち2017年度にオランダに入国した日本人渡航者数は約0.6%ととなります。

 

オランダに入国した日本人渡航者数のうち、45%が観光を目的に入国しているため、約5万人、すなわち1日当たり135人程度の日本人観光客がオランダに訪れていたことになります。

近年のオランダは外国人観光客数が年々増加してきており、2017年度にオランダを訪れた外国人観光客数は前年度から11%上昇した約1,760万人と推定されています(こちら参照)。つまり、全体の外国人観光客数のうち日本人観光客が占める割合は、わずか0.2%にすぎないことになります。

 

日本人渡航者がオランダ国内で宿泊する都市トップ5

日本人渡航者がオランダ国内で宿泊する都市トップ5(2016年度) 出典:MARKETSCAN JAPAN 2017, NBTC, 2017

上記の資料は、2016年度にオランダに入国した日本人渡航者が宿泊した都市トップ5になります。ひと目で分かると思いますが、オランダの首都アムステルダムに宿泊する日本人渡航者は他都市よりも圧倒的な数字で多いです。

 

この数字は全日本人渡航者数の半数がアムステルダムで宿泊していることとなり、どれほどの日本人渡航者がアムステルダムを目的地としてオランダに入国しているのかが分かります。反対に、アムステルダムに集中してしまい他都市の観光業との釣り合いが上手く取れていないとも言えます。

私が居住するハーグでは、一日当たり約10人の日本人渡航者が宿泊している事実は意外でした。街中を歩いていても日本人観光客らしき姿はそれほど見かけてこなかったからです。

 

日本人観光客にとってオランダの観光めぐりは何が人気なのか?

日本人観光客がオランダですることトップ5

日本人観光客がオランダですることトップ5(2014年度の資料) 出典:MARKETSCAN JAPAN 2017, NBTC, 2017

NBTCの調査資料によれば、オランダを観光で訪れる日本人観光客の5人に3人(61%)は美術館または博物館を訪れており、美術館巡りが最も重要だったと35%が回答しています。

首都アムステルダムには、ゴッホ美術館やレンブラントの有名な作品「夜景」が展示されているアムステルダム国立美術館、アンネ・フランクの家があったりするなど、豊かなオランダ芸術を楽しめる美術館はオランダ各地にあります。

こうした結果からも、オランダ国内の美術館が日本人観光客にとってオランダを訪れる最も重要な理由とも言えます。

 

その次に人気の観光巡りは、徒歩で街を散策すること(47%)、ショッピング(45%)ととなっています。オランダ各都市、とりわけアムステルダムは街中にたくさんの美しい運河があり、散策しながら日本人好みの風景を楽しむことができることはオランダ観光資源の大きな強みです。

また、約3人に1人(34%)の日本人観光客がレストランバーやカフェを訪れて、夕食を取っていることから、オランダの美食を楽しみたいと思っている日本人は多いことが分かります。

 

日本人観光客がオランダ観光で使うお金は非常に大きい

ヨーロッパ諸国(ロシア含む)を訪れる日本人観光客一人当たりがかける費用の内訳

ヨーロッパ諸国(ロシア含む)を訪れる日本人観光客一人当たりがかける旅行費用の内訳 出典:MARKETSCAN JAPAN 2017, NBTC, 2017

JTB総合研究所が作成した資料によれば、2016年度にヨーロッパ諸国(ロシア含む)を訪れた日本人観光客一人当たりがかける旅行費用の平均額は、369,000円となっています。

この旅行費用の内、全体の4分の3に当たる77%(約28万円)が旅券やホテル代、ツアー参加費用に当てられ、13%(5万円弱)がショッピングに当てられているようです。

普段の海外旅行ではいかに旅費を安く抑えて節約する旅行を心がけている夫婦からしてみると、旅行費用の平均額が約37万円ということに驚くとともに、「海外旅行先で買い物をしなくなった」と言われている現代の日本人観光客が5万円弱もショッピングに費やしていることにも驚きを隠せません。

 

では、ヨーロッパ諸国全体ではなく、オランダを訪れる日本人渡航者はどれくらいのお金をオランダ観光業に落としているのでしょうか?

NBTCによれば、平均で3.5泊する日本人渡航者は一日当たり455€(約6万円)、オランダ国内旅行の全日程で1325€(約18万円)ものお金を費やしているとのことです。この金額の大きさから見ると、ホテル代や食事代、ツアー参加費、ショッピング代金など旅行券以外の費用が含まっていると思われます。

2016年にオランダを訪れた外国人観光客が費やした平均金額は719€(約9万円)ということなので、日本人渡航者のそれは平均額の約2倍となっています。

 

まとめ

オランダを再び訪れる意思があるかどうかの割合

オランダを再び訪れる意思があるかどうかの割合。過半数以上が「もちろん」と回答 出典:MARKETSCAN JAPAN 2017, NBTC, 2017

これまでに上述してきた内容を簡潔にまとめると、以下のようになります。

 

  • オランダを訪れる日本人観光客数(2016年度)は、約5万人(一日当たり135人程度)
  • オランダを訪れた日本人渡航者数(2017年度)は、全日本人海外渡航者数のうち約0.6%に留まる
  • オランダを訪れた外国人観光客数(1,760万人)のうち日本人観光客はわずか0.2%のみ
  • オランダを訪れる日本人渡航者のうち、約半数はアムステルダムに宿泊
  • オランダでは美術館鑑賞や街の散策が最も人気な観光めぐり
  • 平均で3.5泊する日本人渡航者はオランダで一日当たり455€(約6万円)を費やす

 

記事冒頭では、オランダを訪れる日本人観光客が年間で約5万人ほどと少なく、オランダを訪れる全外国人観光客のうち占める割合も微々たるもの(0.2%)だと述べました。

その一方で、オランダで平均3.5泊する日本人渡航者が、1日当たり約6万円ものお金を費やすことはオランダ観光業界にとって非常に大きな利益をもたらしています。

NBTCによれば、日本人観光客の考えはどんどん成熟してきているとともに、20・30代の日本人女性で一人ヨーロッパ旅行を楽しむ割合が増加してきていることに着目し、若者の情報収集先として成長しているインスタグラムなどのSNSを通じて観光アピールをしていく必要性があることを強く認識しています。

 

オランダ国内で個人ツアーガイドとして仕事をなされている方は、このNBTCの資料を十分に活用しながら、日本人観光客がオランダ観光で何を求めているのかを知ることができるのではないかと思います。

 

参考資料:MarketScan Japan 2017(サイト内のPDF資料をダウンロード)

 


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フリージャーナリスト&英語・セルビア語通訳者
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オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト

オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。

お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。

大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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