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年間20万人以上の中国人観光客が訪れるヒートホルン村-その理由は何?

ヒートホルン村が中国人観光客に人気な理由

以前に「オランダの小さなヴェネツィア」と呼ばれるヒートホルン村の魅力を紹介する記事を書きましたが、「行ってみたい!」と思った方がいてくれると嬉しい限りです。

 

上記の記事では、観光地としてあまり有名ではない小さな村ヒートホルンをどうやって見つけたのか、その背景を説明しませんでした。

実はヒートホルン村を見つけた背景は、「オランダの小さなヴェネツィア」としてではなく、「中国人の村」として偶然見つけました。「中国人の村」という表現は誤解を招くので、適切な表現としては「多くの中国人観光客が訪れる村」です。実際にヒートホルン村を訪れてみると、驚くべきことに大多数の観光客が中国出身(または中国語を話す人々)のようでした。

その一方で、日本人観光客の姿は観光ツアーで来ている8人グループの団体と個人で観光に来ている2人の女性しか見かけませんでした。日本人が好みそうな「伝統的な家々や美しい運河、自然が共存している観光地」であるにもかかわらず、日本人観光客にあまり人気ではない状況は非常に奇妙に映りました

 

今回の記事では、どうしてヒートホルン村は中国人観光客に特別人気なのか、その背景と理由を探ってみたいと思います。

 

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ヒートホルン村は中国人観光客にどれほど人気なのか、そしてその理由は?

ヒートホルン村行きのバス停前で待つ観光客の大体数も中国人観光客

ヒートホルン村行きのバス停前で待つ観光客の中に中国人の姿も多数見られた ※執筆者が撮影

では、実際にどれくらいの中国人観光客がヒートホルン村を訪れているのでしょうか。

蘭メディア DutchNewsや中華系メディア ChinaDailyよれば、ヒートホルン村を訪れる中国人観光客は年々増加しており、2015年時点では年間に20万人の中国人観光客が訪れており、村内にあるホテル利用客のうち約3分の2は中国人観光客であると報じています。

2014年時にオランダを訪れた日本人(観光・仕事関連)の全体数は約15万人弱であること(こちら参照)から、約5km四方の小さな村に年間で約20万人もの中国人観光客が訪れていることは驚くべきことです。

 

ヒートホルン村が中国人にどれほど人気なのかを探る指標として、Google検索エンジンで英語(オランダ語)・中国語・日本語で検索してみました。検索結果は、以下の画像のようになります。

Giethoorn(英語)→米国版、羊角村(中国語)→香港版、ヒートホルン(日本語)→日本語版で検索しています。

ヒートホルン村の検索結果

ヒートホルンの検索結果

検索結果で表示される件数は以下の通りになります。

  • Giethoorn(英語):約240万件
  • 羊角村(中国語):約57万件
  • ヒートホルン(日本語):約17万件

Giethoorn“は英語やオランダ語以外の他言語でも使用される表記名のため、多くの検索結果が表示されることは想定通りです。驚くべきことに、羊角村(中国語でヒートホルン村の意)は約57万件もの検索結果が表示されています。一方で、日本語の場合は中国語の検索結果に比べて約3分の1ほどのみです。

単純計算で考えてみると、中国では日本よりもヒートホルン村に関する記事や情報が3倍以上もあるということになります。中国は日本よりも人口数が圧倒的に多いことも影響しているでしょうが、ヒートホルン村が中国で人気な地名であることに間違いはないでしょう。

 

インスタグラムで「ヒートホルン村」を検索してみた結果

他にも、流行りのインスタグラムで”Giethoorn“のハッシュタグで検索してると興味深いことが見れます。それは、中国人観光客のセルフィ―が数多く見えることです。

 

また、中華系報道番組でもヒートホルン村の魅力を伝える特集も放送されていることから、この人気は更に加熱しています。

巷の噂や現地で見た光景だけでなく資料やデータで確認してみても、ヒートホルン村が中国人観光客に人気であることは事実のようです。

 

ヒートホルン村でホテルを経営するオランダ人によれば、中国人観光客がヒートホルン村に魅了される理由を以下のように説明しています。

「中国人観光客は、ヒートホルン村を国立公園に囲まれた平和な環境が整った独特な場所と捉えているからです」

しかしながら、そうした観光地としての魅力に惹きつけられるのは中国人だけでなく、他国からの観光客も同じはずです。前述したように、日本人受けする観光地であるはずだと思いますしね。そのため、それ以外の理由があるはずです。

 

中国市場への活発な観光アピール活動

調べてみると、ヒートホルン村が持つ観光の魅力としての要因以外にも、村の観光局や村全体が中国市場に向けて観光アピールを活発に行っていることが分かりました。

例えば、村内にあるホテルのオランダ人経営者は2005年から5回にも渡って中国を訪問し、ヒートホルン村の観光アピールを直接行ったりするなど中国人観光客を魅了するキャンペーンを行ってきました。

また、ヒートホルン村の観光公式サイトを中国語で立ち上げて中国語で最新情報を更新したり、ホテル内でも中国人観光客向けに固めのベッドやゆで麺機を厨房に装備したりするなどの努力も行われています。前述したホテルのオランダ人経営者は中国語を習っていたりしています(こちら参照)。

 

ヒートホルン村で見受けられる中国語の案内や看板

ヒートホルン村で見受けられる中国語の案内や看板 ※執筆者が撮影

私がヒートホルン村を訪れた際にも、村の最寄り鉄道駅Steenwijkの改札口前には中国語で記載された情報案内版が設置されていたり、駅構内にある観光案内所には中国語が分かるスタッフ(中華系移民)が応対していたり、案内所内の軽食に中華料理のメニューが準備されていたりしていました。

また、ヒートホルン村内のレストランが店頭に設置してある看板にも中国語で情報を記載していたりと中国人観光客に「優しい観光地」を作り上げています。

 

中国人観光客がもたらす経済的恩恵

多くの中国人観光客が押し寄せるヒートホルン村-その理由は何?

※執筆者が撮影

中華系メディア ChinaDailyによれば、中国人観光客は日帰りでヒートホルン村を訪れるのではなく、平均で2~3日滞在していると報じています。そして、滞在中に消費する金額は一人当たり約750ユーロ(!)であると試算しています。単純に計算すると、20万人の中国人観光客が消費する全体の金額は1,500万ユーロ(約18億円)ということになります。

ヒートホルン村が属する地域全体における観光業の年間売上が約2,900万ユーロ(約35億円)であることから、ヒートホルン村を訪れる約20万人の中国人観光客がヒートホルン村だけでなく地域全体にどれだけの経済的恩恵をもたらしているかは一目瞭然ですね。

この中国人観光客がもたらす経済的恩恵を更に増やそうと、ヒートホルン村では中国人観光客向けにオランダの他都市を廻るツアーも準備しているようです。例えば、アムステルダムで朝食を取り、ヒートホルン村で午後を優雅に過ごし、デルフトで夕食を取る旅行計画も可能だとしています。

「いつの日か、ヒートホルン村の運河沿いの道は中国人観光客で溢れかえるだろう」とオランダ観光局の報道者が話すように、ヒートホルン村を訪れる中国人観光客は更に増え続けていくことが予想されています。

 

以前に中国人観光客による「爆買い」によって大きな経済的恩恵を受けていた日本のように、ヒートホルン村が中国人観光客をターゲットに絞って観光アピールすることは経済的戦略としては非常に賢いなと個人的に捉えています。

その一方で、日本人観光客にも爆発的な人気が出そうな観光地でもあることから、日本市場でも観光アピールをもっとすれば多くの日本人も訪れるのではないかと思っています。ただし、日本人は観光客の中でも旅行中にお金をあまり消費しない国民という印象もあるためか、経済的なメリットは中国人観光客ほど大きくはなさそうですけどね。

 

まとめ

ヒートホルン村だけでなく、オランダ王国を訪れる中国人観光客は年々増加していくことが予想されており、2020年までには年間81万人の中国人観光客が訪れると期待されています(この数字は訪蘭外国出身ランキングで6位)。

また、オランダ滞在中に中国人観光客は他の外国人観光客よりも2倍近く消費すると試算されています。通常の観光客が平均で約700ユーロ消費するのに対して、中国人観光客は1250ユーロ以上(!)も消費しているとされています。

そのため、ヒートホルン村だけでなくオランダの各観光地にとって中国人観光客の存在は「ダイヤモンドの原石」であることは明らかであり、オランダの他都市でもヒートホルン村の活動を成功例として学び、中国人観光客を取り込むための様々な観光アピールが行われていくのではないかと思います。

 

私達がヒートホルン村を訪れたのは4月中頃の週末だったものの、そこまでの混雑はありませんでした。最も観光客が訪れることが予想される夏季中には、どこまで混雑するかは不透明です。

田舎風景が好きな人には非常にオススメのスポットなので、オランダ観光に訪れた際には是非足を運んでみて下さい!

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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