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私がセルビア(旧ユーゴ地域)に夢中になり始めた理由

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セルビアへの留学を決断【大学3年次】

2年次が終わる2~3月頃に、東欧美術史を研究する教授に連絡を取り、面談を設けてもらうことにしました。その面談の際に、教授がかつてセルビアの大学に研究員として一時滞在していた話をされて、以下のように言われました。

 

「埼玉大学には、旧ユーゴ諸国の一つであるセルビア共和国のベオグラード大学と交換留学協定がある。どうせだったら、この機会にセルビアに留学しちゃえば?」

 

教授がまるで冗談交じりのように発言したために、その時はあっけらかんとしてしまいました。冗談のように聞こえたというのもありますし、当時の私は在学中に留学することを真剣に考えたことがなかったからです。

でも、その教授の「私も応援する」という後押しもあり、「せっかくの機会だし、セルビアに留学してみようかな!」という気になりました。

そこからの半年間は、大学3年前期を終えてのベオグラード大学留学に向けた準備で非常に忙しかったです。セルビア語を勉強する環境は埼玉大学にはなかったので、セルビア語と同じスラヴ語族のロシア語を半年間勉強してスラヴ語の基礎を学びました。

日本語で解説されたセルビア語教材も存在しますが、初歩的な内容となっています。ただし、セルビア語を少しかじってみたいと思う方には、よくまとめられていると思います。セルビアへ向かう途中の飛行機で私もこの書籍を読んで、簡単なあいさつの表現を憶えておきました!

 

また、幸運なこともありました。セルビア出発間際になって突然、在日セルビア大使館よりメールがあり、応募も何もしていないのに国費留学生に選出されたとのことでした。ということで、学生寮無償や留学中の健康保険手当て配布、生活費の支給などの補助がセルビア文科省から出ることは嬉しいニュースでした。

そして、2011年8月上旬にセルビアへ出発しました。

 

ベオグラード大学への1年間の留学

外国人観光地として人気の高いスカダルリヤ通り

外国人観光地として人気の高いスカダルリヤ通り

ベオグラード大学の在籍学部は哲学部歴史学科でしたが、ほぼすべての授業はセルビア語で行われている点からセルビア語学力のない私が授業に参加しても全く意味がありません。

そのため、留学してから半年間はベオグラード大学言語学部の外国人向けセルビア語講座の授業に集中して参加していました。

 

ベオグラード大学の新学年が始まる前の8月中旬よりベオグラード大学言語学部で、3週間に渡って開催される外国人向けのセルビア語講座サマースクールに参加して初級コースを修了し、10月からのセルビア語講座には中級コースで主に学習しました。

そして、1年間の留学中には数多くのセルビア人の友人にも恵まれて、セルビアの歴史問題から政治問題、文化について触れることができました。また、日々のセルビアでの生活を続けているうちに、どんどんセルビア生活・文化に魅了されていきました。

 

セルビアの伝統的な肉料理

セルビアの伝統的な肉料理

セルビアの何が魅力的なのかと言うと、肉食が中心の食文化が自分に合っていたことや陽気でのんびりしたセルビア人の国民性家族・友人との人間関係を最優先する文化夜中でも賑やかなベオグラードの街の雰囲気、カフェの文化、酒・タバコの安さ(現在はそれほど安くないです)など挙げたらきりがありません。

また留学中の前半に出会ったセルビア人女性と交際し始めて、彼女との交際中にセルビアの愛情表現であったり、文化の違いなど様々なことを経験できました。留学を終えてからも彼女との遠距離恋愛は続き、そしてこの彼女が妻になっています。

 

セルビア留学帰国からオランダ移住まで

ベオグラード旧市街の川沿いから見える夕日

ベオグラード旧市街の川沿いから見える夕日

セルビアでの1年間の留学を終えたあと、今後の進路を迷う時期が続きましたが、最終的には卒業後に一般企業に就職することとなりました。

卒業論文は、旧ユーゴ崩壊後にセルビア国内で初等・中等教育学校向けに出版された歴史教科書の比較分析を行い、歴史教科書内で描かれる言説に時代が進むにつれてどのような変化が起きているのかまとめました。

 

歴史教育を卒業論文テーマにした最大の理由は、旧ユーゴ諸国の多くが過去の歴史に囚われて、明るい未来に向かって前進できていない状況に歴史教育が関係しているのではないかと考えていたからです。

また、旧ユーゴ紛争時代を経験していない若い世代にさえ、近隣民族への憎悪を募らせて民族主義的な言動をする若者が増加していることも一つの理由でした。

最終的には、それほど面白い分析結果をまとめられたわけではありませんでしたが、この卒業論文執筆中にずっと考えていたことは現在にまで続いています。

 

どうすれば旧ユーゴ諸国の若者の間にも存在する近隣民族への憎悪を無くして、明るい未来を作ることができるのか?

 

この課題が解決されるまでにどれだけの時間がかかるのか分かりませんし、もしくは永遠に訪れないかもしれません。けれども、セルビアに関心を抱き、一人の同じ若者として微力ながらも何かできることがあるのではないかと考えています。

そして、現在オランダに居住しながらもセルビアまたは旧ユーゴ地域に常に関心を持ち続けており、同国・地域に貢献できることを少しづつ行動を起こしています

 

非常に長い話となってしまいましたが、私がセルビア(旧ユーゴ地域)に夢中になり始めた背景をまとめてみました。

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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コメント

  • コメント (4)

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    • 一大学教師
    • 2018年 2月 10日

    はじめまして。地方の国公立大学で教員をしています。

    欧州出張が多く、KLを使うこともあって、よくオランダには行きます。私にとってオランダが欧州のスタンダートだって気がしています。そうしたことからこのブログをときどき拝見しています。
    この記事は非常に面白かったです。私は社会科学を専門にしているのですが、学生への接し方で参考になります。学問というのは自由になる方法だと、よく言われますが、なかなか学生に伝えきれない。日本人は「田舎者」なので寛容さが足りないと思うので、多文化融合は難しいとしても多文化共生を目指して欲しいと私は信じていますが、これまた難しい。
    それ以前の問題として、自分の子どもの育て方にも示唆を与えてくれました。
    どうもありがとうございました。また訪れさせてください。

  1. 一大学教師さま

    コメントを頂きまして、ありがとうございます。

    そのように言って頂きまして、執筆者として非常に嬉しく思います。現状の日本の大学を覆う環境の問題として、多くの学生が「大学は卒業後の就職へのステップ」として捉えてしまっていることから、どの学問に対しても消極的になってしまう部分があります。そのため、どの学問分野に対しても関心を持てずに、そのまま大学を卒業してしまう傾向にあります。しかしながら、こうした状況は非常にもったいないと感じてしまいます。せっかく自由になんでも学べる環境が目の前にあり、そして4年間という期間があるにも関わらず、自分が関心を持てる学問に巡り会えていない学生が多いように見受けられるからです。

    学問や研究の面白さを学生に伝えることは難しいとは思いますが、私もこのサイトを通じてオランダ社会の内面であったり、日本人には馴染みのないセルビアや旧ユーゴ他諸国の社会について触れながら、大学を卒業して研究者という立場ではなくとも、個人で好きな学問や分野に関心を持ち続けながら「生きる」面白さを伝えていけれたらなと思っています。

    稚拙な文章ではありますが、今後とも私の記事をご笑覧いただければ幸いです。

    • 阿曽
    • 2018年 12月 11日

    はじめまして。セルビアに興味があり、情報を求めていたところ、こーたろーさんの記事にたどり着きました。日本では、セルビアについての細かい情報を得る機会が少ないため、とても興味深く、ありがたいです。
    セルビアについて興味はあるものの、言語はおろか、歴史についてもまだまだ勉強不足なのですが、近い将来、自分の目でセルビアをみてみたいと思っています。
    貴重な情報、ありがとうございます。

  2. 阿曽さま

    コメントありがとうございます。そう言って頂けること、セルビアに関心を持ってくれていることを執筆者そしてセルビアを愛する一人として非常に嬉しく思います。
    セルビアは日本人には馴染みがあまりなく、遠い国のように感じてしまうものの、一度訪れると取り憑かれるように何度も何度も足を運ぶ人も数多くいます。
    阿曽さまがセルビアに足を運ぶ日が近い将来すぐ訪れることを願っております。

    Kotaro

執筆者のプロフィール

Kotaro

フリージャーナリスト&英語・セルビア語通訳者
ブログ運営者のプロフィール

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト

オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。

お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。

大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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