KOTARO JOURNAL

セルビア語はどんな言語なの?難しい言語って本当?

皆さんは、セルビア語がどんな言語なのか、どこの地域で使われている言語なのか分かりますか?

私は東欧に位置するセルビア共和国(以下、セルビア)のベオグラード大学に1年間留学してセルビア語を勉強していたこと、妻がセルビア人であるために日常会話の多くがセルビア語で行われていることもあり、セルビア語が生活の上で重要なツールとなっています。

※なぜ私がセルビア語を勉強し始めたのかについては、以下の記事で紹介しています。

 

そして、新たな出会いで自己紹介をする際に上記のような私の経歴や生活環境などを話すと、よく聞かれる質問があります。

「セルビア語ってどこで話されてるの?」

「セルビア語って何の言語に似ているの?」

「セルビア語?んー聞いたことがない言語だ!」

「セルビア語で何か喋ってみてよ!」

このような質問を聞かれると、セルビア語はやはり多くの日本人に馴染みのない言語であることを痛感します。

上記の現状は理解できます。なぜならば、多くの日本人はセルビア語自体の存在を聞いたことがないと思いますし、セルビア語での会話や発音を一度も聞いたことがないはずです。そもそもセルビア語が公式言語であるセルビア共和国(以下、セルビア)の存在自体に関心を示している人もわずかでしょうし、セルビアを観光で訪れる日本人はほとんどいません

※セルビア語の発音はこんな感じです。(セルビア国営放送の動画)

 

そこで今回は、セルビア語がどんな言語なのかを分かりやすく紹介してみたいと思います。そして、多くの人にセルビア語またはセルビアへの関心をもってもらえる契機となってもらえたら嬉しいです。

 

スポンサーリンク

セルビア語はどこで話されている言語?

セルビア共和国の地図

セルビア共和国の地図

簡単に言えば、セルビア語はセルビア人が話す言語であり、セルビアで話されている国だと考えることができます。しかしながら、セルビア以外でも多くの国々で話されている言語でもあります。

セルビア語が公式言語として認められている国は、セルビア以外にボスニア共和国とコソヴォ共和国があります。歴史的側面から両国に居住するセルビア人の人権を保護するために、セルビア語が公式言語として認められています。また、セルビア語が少数言語として認められている国が数多く存在し、クロアチアやモンテネグロ、マケドニアなど計7ヵ国があります。

それ以外にも、世界各国には多くのセルビア人の移民が居住しており、それぞれの国家でもセルビア人コミュニティーを形成しているために、セルビア語話者は必ずしもセルビア国内だけでありません。

セルビア国内のセルビア人口は約650万人(千葉県民と同等数)になりますが、国外に居住するセルビア語話者数も換算すると1,000万前後になります。そのため、セルビア語話者数は少ないわけではありません。

 

セルビア語はロシア語に似ている?

スラヴ諸語の地図

スラヴ諸語の地図 出典:http://alphaomegatranslations.com/

「セルビア語って何の言語に似ているの?」という質問をされた時、私は毎回「セルビア語はロシア語に似ている」と答えるようにしています。なぜならば、ロシア語の存在やどのような発音がなされる言語なのか知らない人は、ほとんどいないと思いますし、想像しやすいからです。

 

言語学的にセルビア語が属する言語グループは、インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派になります。そして、このスラヴ語派には分布する地域によって、大まかに3つのグループに分類されます。つまり、東に位置するスラヴ語集団、西に位置するスラヴ語集団、南に位置するスラヴ語集団という形です。

  • 東スラヴ語群ロシア語やウクライナ語、ベラルーシ語など
  • 西スラヴ語群:チェコ語やスロヴァキア語、ポーランド語など
  • 南スラヴ語群:スロヴェニア語やクロアチア語、ボスニア語、セルビア語、モンテネグロ語、マケドニア語、ブルガリア語など

言語学的観点からは3つのグループに分類されていますが、グループ内だけでなく各グループの垣根を超えた類似性はあります。なぜならば、スラヴ人は5世紀ごろに現在のウクライナ地域から出現した際に、同じ言語(スラヴ祖語)で会話していたとされているからです。そのため、もとを辿れば一つの言語集団だったということになります。

※以下の書籍はスラヴ諸語の導入本として非常にオススメです。スラヴ諸語に関心のある方は是非読むことをオススメします!

 

では、セルビア語とロシア語はどれくらい似ているのでしょうか?

以下の動画では、セルビア人とロシア人がたくさんの単語をそれぞれの言語で表すゲームをしています。この動画を見てもらうと、言い方が同じ単語があったり、まったく異なる単語があると分かります。

 

私はかつてロシア語を少し勉強したことがありますが、セルビア語とロシア語が使う表記文字(キリル文字)はほぼ同じですし、文法も似ています。しかしながら、独自の言語が作られていく地理的・文化的・歴史的背景が異なるために、類似しない単語も数多くあることは間違いないです。

そのため、セルビア人とロシア人がそれぞれの言語で互いに会話した場合、相互理解できる割合はそれほど高くありません。セルビア人曰く「ロシア人の話す内容は50%ほど理解できる一方で、ロシア人はセルビア語で話す内容はほとんど理解できないだろう」とのことでした。

結論を言えば、表記文字や単語、文法に類似性は見られることから両言語は似ていると言えるけれども、それぞれの言語で互いに会話しても相互理解することは難しいために似ていないとも言えます。

 

2つの表記文字(キリル文字とラテン文字)を併用

セルビア語で使用さえる表記文字キリル文字とラテン文字

セルビア語で使用さえる表記文字キリル文字(上)とラテン文字(下)

セルビア共和国憲法では、セルビア語の公式文字としてキリル文字が採用されています。

キリル文字は、日本の顔文字〔( ゚Д゚)щ(゚д゚щ)〕で使われていることから日本人にとっても意外と身近な存在であったり、ロシア語で使われる表記文字というイメージが日本で定着していると思いますが、セルビア語でも使われる表記文字になります。

しかしながら、ロシアとセルビアで使われるキリル文字には多少の違いもあるために、必ずしもすべて同じ文字を使用しているわけではありません。以下の例で違いを見てみましょう。

ロシア語にあって、セルビア語にないキリル文字:Ё, Й, Щ, Ъ, Ы, Ь, Э, Ю, Я

セルビア語にあって、ロシア語にないキリル文字:Ђ, Ј, Љ, Њ, Ћ, Џ

 

こうしたキリル文字がある一方で、英語などで使われるアルファベット(ラテン文字)もセルビア語で使用することができる表記文字でもあります。このキリル文字とラテン文字は相互関係があり、簡単に言えば「ひらがな」と「カタカナ」の相互関係のようなものです。

前述したように、キリル文字はセルビア語の公式文字と決められているために公式書類や役所通知などはキリル文字で記述されています。しかしながら、セルビア国内の街を歩いていると、キリル文字よりもラテン文字表記のお店看板やメニューに気づくはずです。また、セルビア系マスメディアでもラテン文字表記の方が多い印象を受けます。

セルビアの子供たちは最初に習う表記文字はキリル文字であるものの、近年のセルビア人若者はキリル文字を毛嫌いし、ラテン文字をより頻繁に使用する場合が多いです。背景には、日常生活でラテン文字表記を目にする機会が多い点や「キリル文字=セルビア民族主義・伝統保護主義」という印象から自由主義的な若者が嫌気を指している点などが挙げられます。

 

そのため、セルビア語はキリル文字またはラテン文字どちらでも使用して大丈夫な珍しい言語です。

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


記事が気に入ったら
Kotaro Journalを "いいね!"
Facebookで更新情報をお届け。

Kotaro Journal

関連記事一覧

  1. 【11月29日開廷】旧ユーゴスラヴィア国際戦犯法廷を一緒に傍聴しませんか?
  2. 東欧セルビアで初めてとなるクラフトビール「カビネット」!
  3. 【ユダヤ人犠牲者率90%以上】ベオグラードのユダヤ人墓地からホロコーストの歴史に触れる
  4. 旧ユーゴ国際戦犯法廷の裁判を傍聴してみた感想とレポート(2017年5月3日)

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

執筆者のプロフィール

Kotaro

フリージャーナリスト&英語・セルビア語通訳者
ブログ運営者のプロフィール

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト

オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。

お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。

大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

お仕事の相談はこちら

詳細なプロフィール

セルビア中毒便り

海外送金にオススメ!

手数料激安の海外送金

最新の記事

  1. 意外にも驚かれるセルビア4つの真実
  2. 映画"The New Barbarianism":戦地で従事する医療機関・医療従事者をどうやって保護するか?
  3. ニューオーリンズ観光で超絶オススメしたい観光スポット7選
  4. ジャクソン・スクウェア
  5. 創造性豊かなオランダが誇る歴史上の発明品10選




執筆者が推薦したい社会派記事



ピックアップ記事

  1. スリナム共和国の国旗
  2. Youtuber(ユーチューバー)嫌いな私が唯一見ているYoutubers4選
  3. コソヴォ出身の歌手が世界で大ブレイクを果たしている!【リタ・オラ&ドュア・リパ】
  4. 【オランダ開催】「スレブレニツァの虐殺」追悼記念式典で目の当たりにした人々の涙
  5. セルビアの首都ベオグラードは「ニュー・ベルリン」?

FOLLOW ME!!

ハーグ観光のお手伝い

ハーグ在住日本人がハーグ観光をお手伝い

PAGE TOP