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オランダのスリナム系移民ってどこから来たの?

スリナム共和国の国旗

皆さんは、スリナム人またはスリナム共和国という国を聞いたことありますか?

正直に言って、私はオランダに移住するまでスリナム共和国のことは知りませんでした。移住した当初、仮住まいをしていたアパートのオーナーとお酒を飲みながら話していた際に、オランダの移民はどこの出身が多いのか聞きました。

オーナー「オランダに居住する移民は、モロッコ人やトルコ人、スリナム人が多いね。」

 

私はスリナム人と聞いて、スリナムってどこの国だ?と思いました。

その後、色々と「スリナム国家、スリナム人」を調べていると、非常に興味深い歴史を持つ国家であり民族であることが分かりました。

そこで今回は自分の勉強も含めて、スリナム国の歴史、スリナム人の民族性について簡単にまとめてみたいと思います。

 

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スリナム共和国の概要

スリナムの地図

スリナム共和国の地図

スリナム共和国はラテンアメリカの北東部に位置する国であり、ラテンアメリカで唯一のオランダ語を公用語とする国です。

何故、オランダ語が公用語かと言うと、スリナム共和国は17世紀中頃からオランダ(当時ネーデルラント連邦共和国)に植民地支配されていた歴史的背景があるからです。当時のオランダは、「オランダ海上帝国」と呼ばれるなど、インドネシアをはじめ世界各地で植民地支配を展開していました。

長期間に渡って植民地支配されていたスリナム共和国は1975年に、オランダから完全に独立を果たします。

 

スリナム人ってどういう民族なのか?

スリナム人とは?

スリナム人とは? 出典:amnesty international

17世紀中頃からオランダにより植民地支配されていたスリナムでは、多くの欧米諸国も植民地地域で行っていたプランテーション(安価な現地人や黒人奴隷を労働力として、砂糖やコーヒー等の商品作物を栽培する大農園)農業が発展しました。

これを担う労働力として現地のスリナム人だけでは不十分だったため、植民地支配していた地域からアフリカ系黒人奴隷やインド人契約労働者、ジャワ民族などが連れてこられ、重要な労働力となっていきました。

こうした歴史的背景があるため、現在のスリナム共和国は多民族によって構成され、「スリナム人」とは民族的帰属としての国籍ではなく、「多様な民族が存在する国民全般」を指す言葉となっています。

2004年国勢調査による構成民族は、アフリカ系(32.4%)、インド系(27.4%)、ジャワ系(14%)、混血民族(12.5%)、スリナム原住民(3.7%)、その他となっています。

2012年国勢調査による宗教的帰属は、キリスト教(48.4%)、ヒンドゥー教(22.3%)、イスラム教(13.9%)、その他となっています。

上記の構成民族を見て分かる通り、どの民族も過半数を超えていないのです!

またオランダによる植民地支配下時、民族的帰属が異なるため、文化的・宗教的な違いもあり、主要3民族グループ(アフリカ系、インド系、ジャワ系)の相互民族間の関係は良好ではなかったようです

こうした理由で、通婚(異なる民族同士の結婚)は非常に稀であったため、混血民族は全体の1割のみで留まっていることに繋がっています。

 

オランダにおけるスリナム系移民

第二次世界大戦後の1954年にオランダ王国から自治権を獲得したスリナムは、同時にオランダ国籍を取得し、オランダ国内に自由に居住する権利を得ました。これがきっかけとなり、多くのスリナム人がオランダ本国に移民し、現在では35万人(オランダ全人口のうち約2%、移民人口のうち約9.3%を占める)が首都アムステルダムを中心に居住しています。

ちなみに、オランダ人とスリナム人との関係は良好だそうです。

この良好な関係の理由として、スリナム人は上述してきた歴史的背景があり、オランダ国内の母語であるオランダ語を話すため、文化的摩擦を生まずにオランダ社会に上手く順応できたためなのではないかと考えています。

 

上記の動画は、AP通信によるスリナムに関する短いドキュメンタリーです。この動画ではオランダに居住するスリナム人の苦悩、スリナム人とサッカー、スリナムの歴史、現在のスリナム共和国の現状が大まかに分かります。

 

今後は、オランダ社会を構成する移民に焦点を当てた記事をちょいちょい書いていきたいなと思いますので、興味のある方は是非読んでくださいね。

※追記(201611月1日):オランダにおけるスリナム系移民の存在とサッカーオランダ代表の関係について記事を書きました。是非読んでみて下さい!


※追記(2017年5月31日):南米のスリナム共和国で自殺死亡率が高いのはなぜか?その背景を探って、まとめてみました!

 

参考サイト
Suriname, Wikipedia
Surinamese people, Wikipedia
人口統計表、オランダ統計局(Homepage

参考資料
水島治郎「オランダとスリナム系移民ー植民地・都市・住宅」
国勢調査書、スリナム統計局(資料

 


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フリージャーナリスト&英語・セルビア語通訳者
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オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト

オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。

お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。

大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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