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格安オンライン英会話にセルビア人講師が多いのはなぜか?

格安オンライン英会話にセルビア人講師が多いのはなぜか?

近年の日本では、語学学校に通わずともどこからでも24時間好きな時間に学べるオンライン英会話を通じて、英語を学習することがますます人気になっています。

特に最近になって多くの企業がオンライン英会話業界に参入し、月額約5,000円という驚きの安さで英語を気軽に学習することができる時代になりました。

 

その一方で、多くの日本人が気軽に安く英語学習が出来る環境は、英会話講師側の安い労働賃金によって成り立っていることを皆さんはご存知ですか?

イギリスやアメリカ、オーストラリア、カナダといった英語が公用語である国々は先進国であり、企業側がこうした国々からネイティブ・スピーカーを雇用すると高額の労働賃金が発生するために、「格安オンライン英会話」事業は成り立ちません。

反対に発展途上国ならば、現地の平均給与が低いために安い労働賃金で講師を雇用することが出来ます。その発展途上国で最も講師が多い国は、「英語が公用語である」フィリピンです。多くのフィリピン人が英会話講師として働いていることは、多くの人が知っていることであり、簡単に予想できますよね?

 

このフィリピン人講師とともに、近年日本の格安オンライン英会話業界を成り立てている講師はセルビア共和国出身です。業界最大手の某オンライン英会話の講師を見てみると全体の講師数(約6,000人)の内、セルビア人講師はフィリピン人講師とほぼ同数の約2,300人が在籍しています(2017年3月時)。

セルビア共和国と言えば東ヨーロッパに位置し、かつての旧ユーゴスラヴィア構成諸国の一つです。また、セルビア共和国の母国語は英語ではなくセルビア語になります。セルビア語はロシア語などが属するスラヴ語族の一言語のため、英語とはまったく似ていません。

※セルビア共和国やセルビア語に関する詳細は、以下の記事で説明しています。

 

多くのセルビア人講師が格安オンライン英会話業界を支えていることを知った理由は、オンライン英会話に関するブログで「なぜセルビア人がオンライン英会話講師として多いのか?」という記事を偶然にも見つけて読んだことがきっかけです。

しかしながら、この記事で説明されているセルビア人が英会話講師として働いている背景に大きな誤解があることに気付きました。

今回の記事では、格安オンライン英会話で英語学習する日本人だけでなく、多くの人にセルビア人英会話講師を取り巻く環境を正しく理解してほしいと思い、格安オンライン英会話になぜセルビア人講師が多いのか、セルビア事情に詳しい私がその正しい背景を詳細に説明したいと思います。

 

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格安オンライン英会話にセルビア人講師が多いのはなぜか?

あるブログ記事では、セルビア人(・ボスニア人*)講師側のメリットとして以下のように書かれています。

※このブログ記事内では、セルビア人以外にも隣国のボスニア人講師のことも同列して述べていますが、こちらの記事内ではセルビア人講師のみに焦点を当ててお話しします。

「自分のペースで働ける」というのが、講師側から見た最大のメリットです。

彼らにとって給料がそこそこ高いだけでなく、自分でレッスンを行う時間を選べ、さらに在宅講師の場合は自宅で行うことが可能です。

CanCanEnglish-オンライン英会話スクールの効果を徹底比較-』より引用

 

オンライン英会話で働く講師にとって、「自宅に居ながら自分のペースで働ける」というのは、一般的なメリットであることは間違いではないでしょう。しかしながら、セルビア人講師が多い理由はこのメリットが最も大きな要因ではないと私は考えいています。

正しい理由は、「セルビア国内経済の不況」「セルビア国内の高い失業率」に関係しています。

 

またセルビア人講師にとって、「給料がそこそこ高い」というのは現地の平均月収の数字から見れば正しいようで、現実のセルビア国内の生活水準を目の当たりにすると実際はそれほど魅力的ではありません。「セルビアは東ヨーロッパに位置するから物価も安いに決まってるし、生活水準も低い」と考えている人は大きな誤解をしています。なぜならば、セルビア国内の物価は毎月のようにどんどん上昇しています。

詳細な説明は以下で、詳しく見てみましょう!

 

セルビア国内の失業率はどれくらいか?

セルビアの貧困

出典:N1

セルビア統計局とセルビア就職援助機構が発表する最新の情報(2017年3月時)によれば、セルビア国内全体の失業率は13%であり(こちら参照)、若者に限れば失業率は約2.5倍の31.2%となっています(こちら参照)。

日本社会の失業率と比べてみると、この失業率は深刻な数値であると捉える人が多いと思いますが、実態の失業率はより深刻であると私は考えています

 

これまでにセルビアに1年間留学し、その後に何度もセルビアに足を運んでセルビアに住む人々を見てきた私にとっても、この失業率は信じ難い数値です。「この数値だったらどれほど良いものか」と思ってしまうほどです。

私の実感としては、セルビア国内全体の失業率は約40、若者の失業率は50%を超えているのではないかと思います。

 

セルビア国内の高い失業率を裏付ける事件?

首都ベオグラードに建設中のIKEA

首都ベオグラードに建設中のIKEA 出典:eKapija

上述したセルビア国内の高い失業率を大いに物語るニュースが先日ありました。

2017年の夏頃に、セルビア首都ベオグラードにて世界最大の家具量販店IKEAが第1号店をオープンすることが決まりました。そして、新規オープンに必要な新規労働力を探すために250人の求人案内を出したところ、約1万8000人の応募がありました。驚くべきことに、その倍率はなんと71倍です!

 

こうした状況が起きたのも、特別にIKEAが魅力的な職場だからというわけでなく、多くの失業者がどんな仕事でもいいから働き口を探して殺到していることを表しています。

このIKEAで起きた現象が、格安オンライン英会話でも同様に起きているのではないかと私は考えています。

 

働き口としての格安オンライン英会話

セルビア国内で中等教育(日本の高等学校に同等)を終えた学生のうち、高等教育(大学に同等)に進学する割合は約20%になります。そして、4年生大学で学士課程を修了しても正規の仕事を見つけることが非常に困難であるセルビア。

こうした「高等教育を受けたセルビア人エリート」層の間で、オンライン英会話の仕事が口コミで話題となり、近年はセルビア国内のメディアでも取り上げられています。

例えば、以下のセルビア国内メディアのニュースで格安オンライン英会話スクールで働くセルビア人講師の特集が組まれていました。

タイトル:「スカイプで日本人に英語を教える」(セルビア語のみ)

 

また、下記画像のようにGoogleセルビア版の検索エンジンにてPredavanje engleskog”(英語教育)と入力してみると、「インターネット・スカイプ・オンラインを通じて英語を教える」「日本人に英語を教える」等と、オンライン英会話と日本人に関する5件の予測変換が上位表示されます(2017年3月時)。

そのため、多くのセルビア人の間でも「オンライン英会話」の仕事が大きな話題となっていることが確認できます。

セルビア版Googleの検索エンジン結果

Googleセルビア版の検索エンジン結果

 

次のページでは、格安オンライン英会話の講師を務めるセルビア人にとって支払われる給料が果たして本当に「そこそこ」高いのか詳細に分析してみましょう。

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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コメント

  • コメント (2)

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    • 隠居音楽大学教員
    • 2018年 10月 21日

    DMMで偶然音楽学を専攻した講師と出会いました。片言のイタリア語も話す素敵な講師です。ハンガリー、ルーマニアには演奏旅行で訪れたかとはありますが、セルビアについて、詳しく知りたく思ったところ、この素晴らしいサイトに出会うことができました。日常の目線での語り口に、現在の若者が置かれた社会状況などを始め、多く学ばせて頂いてます。どうか、今後も広く発信ください。

  1. 隠居音楽大学教員さま

    コメントを頂きまして、ありがとうございます。また、お褒めのお言葉を頂いたこと、とても嬉しく思います。私はセルビアに在住している者ではないものの、かつてセルビアに住んでいた者、セルビアの将来、とりわけ今後を担う若者の世代の未来を憂慮するものとして、今後もこのような記事を中心にしながら情報発信していけたらと思います。

執筆者のプロフィール

Kotaro

フリージャーナリスト&英語・セルビア語通訳者
ブログ運営者のプロフィール

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト

オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。

お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。

大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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