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ウィルダースが在トルコ共和国オランダ大使に任命!?【オランダのエイプリルフール2017】

4月1日は、皆さんもご存知の通りエイプリルフールの日!

世界各国では、この日のために長期間かけて準備してきたかのようなセンス溢れるエイプリルフールネタが飛び交う日ですね!

そして、オランダでも4月1日のエイプリルフールの日に、最近まで話題となっていた政治的な時事ネタを使った面白いネタが登場しました!そして、このネタが2日間の間にFacebook上で約2,400人にシェアされている話題のエイプリルフールネタです!

 

4月1日の昼間、Twitterのタイムラインにフォローしている在オランダ外国人向け情報サイトDutch Reviewから、以下のツイートが飛んできました!

 

【速報】オランダ政府は在トルコ共和国オランダ大使の人事異動を行い、トルコ大統領エルドアンの「やり方」に最も適する人材を任命することにした!

〔記事タイトル〕ウィルダースがオランダ大使に任命される。

同ツイートより執筆者訳

このツイートを見た時に、すぐに吹き出し笑いをしてしまいましたよ。非常に皮肉が効いたタイトルであるからです。

このツイートを見て、このネタの内容が分からない人は安心してください。後半でしっかりと解説しますよ!

 

この記事の内容を抜粋すると、以下のようなことが記載されています。

(記事全文はこちら

4月1日に驚くべき動きが起こった。オランダ政府はヘルト・ウィルダース氏を在トルコ共和国オランダ大使に任命した。この決定は、オランダ首相マルク・ルッテによってなされたものであり、この寛大な決定は称賛されている。3月15日に行われたオランダ総選挙直後に起きたこの決定は、同選挙で敗北したオランダ自由党(PVV)党首(ヘルト・ウィルダース)への要職が用意されることを意味し、(両者にとって)和平の証と見られている。

本日午後にデン・ハーグで予定されている会合の後、ウィルダースは本日中にも片道チケットと共に、(トルコ首都)アンカラへ向かうとされている。

このニュースに反応して、トルコ大統領府報道官は以下のように声明を発表した。「とうとう、我々と協力して外交できる人間が来る!」

※()内は執筆者追記部分

引用記事:Wilders to become dutch ambassador to Turkey/DutchReview(アクセス日:2017年4月3日)/執筆者訳

 

そして、この記事の最後にオランダ大使に任命されたウィルダースが早速、トルコ国民への挨拶のメッセージとして以下の動画を公開しています。

 

ここまで読んできて、このネタの面白さが分かる人はオランダ在住日本人またはオランダ政治事情に日頃から注目している人だと思います。しかしながら、そうでない人はこのネタは全然意味が分からないし、面白くないと思いますよね?

このネタの面白さが分からない人向けに、以下で詳細に解説します!もうネタの内容は分かるから、解説読まなくてもいいよと思う方も読んでくれると嬉しいです。

 

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オランダ・トルコ間で発生した政治的緊張

エルドアン大統領(トルコ)

エルドアン大統領(トルコ)

エルドアン大統領(トルコ)

エルドアン大統領(トルコ)

オランダ総選挙まで残り4日と間近に迫っていた3月11日に、このネタの背景となる事件が起きます。

当日、オランダ南部ロッテルダムにてエルドアン大統領支持集会が行われる予定でしたが、この集会に参加するトルコ外務大臣を乗せた飛行機がオランダ政府により着陸拒否されました。

また、ドイツからオランダに入国していたトルコ家族・社会大臣がロッテルダムにあるトルコ領事館に入館することを拒否され、警察にエスコートされる形で強制的に国外退去させられることになりました。

オランダ当局によるこうした決断は、オランダ現地の治安を維持するためでした。なぜならば、エルドアン政権支持派と反体制派の対立がオランダ国内で激化することを懸念していたからです。

こうした対応に激怒したトルコ大統領エルドアンは、オランダを「ナチスの残党」、「ファシスト集団」と公衆の前で発言しました。

エルドアン大統領が集会で、オランダを「ナチスの残党」と呼んだ映像

 

オランダ総選挙前日の3月14日には、エルドアン大統領は両国間の政治的緊張を更にエスカレートさせます。

演説にて、ボスニア紛争中に起きた悲劇で約8,000人のムスリム人がボスニア系セルビア軍に虐殺された「スレブレニツァの虐殺」と当地に駐留していたオランダ軍部隊が阻止できなかった事実との関連から、エルドアン大統領は以下のように述べました。

 

「我々は、オランダ人のことをスレブレニツァの虐殺で知っている。オランダ人がスレブレニツァに住む人々をどうやって虐殺したのか、よく知っている。」

 

「スレブレニツァの虐殺」に関して、オランダ政府及びオランダ人は依然として一種のトラウマを抱えており、この問題に触れただけでなく歪曲した事実を述べたことにマルク・ルッテ首相は激怒することになりました。

※「スレブレニツァの虐殺」とオランダ軍部隊に関して、以下の記事で説明しています。

 

こうした両国の政治的緊張が起きている状況が、このネタの背景にそもそもあります。

 

ヘルト・ウィルダースとトルコの関係

冒頭のネタの中心人物となっているヘルト・ウィルダースという政治家は、3月のオランダ総選挙で世界から最も注目を浴びていた人物でした。

なぜならば、これまでに反イスラムに関する過激な発言を繰り返したり、反移民・反EUを掲げる右派政党オランダ自由党(PVV)党首として一時は総選挙で勝利するのでないかと言われていた程です。

このウィルダースは、現在党首を務める政党を自身で旗揚げする前は、現政権与党であり3月の総選挙で勝利した自由民主国民党(VVD)に在籍していました。しかしながら、ある事柄に関する政治的意見の対立から離党することになりました。

その理由が、「トルコ共和国のEU加盟に関する」問題です。ウィルダースは、「トルコ共和国のEU加盟」には反対する政治的意見を持っていました

トルコ共和国のEU加盟に支援を表明したVVDと意見が全く正反対のウィルダースは、離党から2年後にPVVを立ち上げ、反イスラム・反移民活動を展開していきます。

つまり、ウィルダースはトルコ共和国のEU加盟反対の急先鋒だった人物ということになります。

※ヘルト・ウィルダースの生い立ちから現在までの素顔に関して、以前に記事を書きました。

 

そして、オランダ総選挙前の3月7日にウィルダースはあることを行います。

 

エルドアン政権閣僚がロッテルダムで開催される支持者集会に参加するためにオランダに入国することを聞きつけたウィルダースは、1人で在蘭トルコ大使館の前で「帰れ!ここは私達の国だ」と書かれた大きなバナーを掲げて抗議活動をしました。

 

ネタ明かしのまとめ 

つまり、反トルコ政治活動をするウィルダースが、前述したようにオランダと政治的緊張が発生しているトルコ共和国のオランダ大使に任命されることは、「油に水を注ぐ」状態以上のことが起きてしまうわけです。

ということで、ウィルダースは在トルコ共和国オランダ大使に「最も適さない」人材であるものの、記事ツイートの内容「エルドアン首相の(過激な)やり方に適した」人材というのは当たっているのかもしれません!(笑)

 

以上、2017年のエイプリルフールで登場したオランダのネタ話のご紹介でした!

 

オランダのハーグに在住しながら、セルビア(旧ユーゴスラヴィア他諸国)で起きている現状を独自の目線で発信するフリージャーナリスト。オランダの社会文化や現地での海外生活を最前線から追いながら、かつてセルビアに留学した執筆者が、旧ユーゴスラヴィア地域の社会問題を取り上げていく。お問い合わせは、info@kotaro-journal.comまで。


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大学時代に旧ユーゴスラヴィア史を研究し、1年間セルビアに留学。旧ユーゴ史研究者に少し憧れたものの諦める。現在は、オランダ・セルビアに特化した記事を書くフリージャーナリストとして活動。

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